梅じゃなくて杏ってのはホントだった
もう去年のことです。
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公園の梅をもいでいたら通りかかった意地の悪そうなオバさんに話しかけられた。
「そんなにに取っちゃったの」
「この近所の人は毎年楽しみにしているのに」
「これは杏よ」
「いやぁww。なにしろここは公園ですからねえ(笑)。でも上のほうにはまだいっぱい実が残っていますよ。」
なんだか絡まれそうなので相手にしないでおいた。
しかしよりにもよって、わざわざそれは杏(アンズ)だなんて言って、それで妨害でもしたつもりなんだろうかと思った。
去年も作ってちゃんと梅干にして食ってるって。
たいしたデマ飛ばして、嫌なババアだと思っていた。
そうして漬けて食べていたが美味しいので減り方が早くなった。
塩分がヤバいかも知れんけどw。
今年もどうやら漬けた方がいいかと、同じ場所へ取りに行った。
買い物ついでに目当ての場所に取りに行く。
行く道すがら、あと一週間ぐらいかも知れないな、なんて嫁と話していたら時すでに遅し、すでに手の届くところはだいぶ取られていた。
しかし嫁が一年ぶりに気がついたのか言った。
「これは杏だよ」
「いくらなんでもこんな大きい梅なんてないよ」と。
公園なので、そばで遊んでいる母親と二人の小さい娘たちがいて、俺たちを見ていた。
彼らはふと杏の木に寄ってきて、梅の実を取り始めた。
母親は子供を肩車したりして、そして取った実を俺たちに渡してくれた。
杏をくれて、「ありがとう」なんて礼を言う。
なんだか珍しいと思われたのかな、遊びついでに手伝ってくれたのだろうか、なんて考えたのもつかの間。
そしたらその一番ちっこい娘がおずおずと寄ってきて、しかしニコニコと言うんだ。
「あのね、そのね、こないだウチで全部いっぱいとっちゃったのぉww」なんて。
ああ、そうかよ(笑)。
それで「お情け」に少しもいでくれているというわけかww。
ありがとよw。
若い母親は「何を作るんですか」なんて聞くから我々は「梅干に」なんて答えた。
まあ杏でも梅干にはなるそうだから間違ってはいない。
その母親も「杏ですけれどもね」なんて言ってた。
聞くぐらいだからそちらの家では杏ジュースかジャムにしているんだろう。
へえ、じゃあ去年のババアのあれはデマではなかったのか(笑)。
なんてこと。とんだ濡れ衣だってか(笑)。
そうしてウチも今年はジャムにすることにした。だったらもう少し量が欲しいな。
「杏ジャム」ときたら、それは「アプリコットのジャム」ってことじゃねえか。
スーパーのジャムの棚では上等な方だw。
嫁が言うにはこないだ里帰りした時、杏の梅干が売られているのを買ったことがあったそうだが、義母なんかは冷淡に笑っていたそうだ。買って食ったら酸味がなくて美味くなかったという。
しかしなあ俺はずっとその杏の混じった梅干を美味しくチビチビ食べてたんだけどなぁ(笑)。
「大きさがこれだけ大きいんだから、梅じゃないって、杏だって気づくはずだったんだよ」なんてブツブツ嫁が言っている。
まあいいじゃねえか。
上のほうにはまだいっぱい実が残っている。
おそまつ
