玉葱で流した涙を振り返る
昔、オニオンスープにしてもらおうと玉葱を細かく切りました。
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カレーなんてものならささっとできるもの。
嫁が作ってくれたオニオンスープが美味しかったのでリクエストしてみたものの「玉葱を刻むのがね・・・」なんて笑うもんだから、それじゃあとお手伝い。
嫁のアパートのキッチンで玉葱を刻み始めました。
茶色の皮を剥いてそれからひとつずつ刻んでゆきます。最初に作ってくれた時は大量に入れてくれたからその分量を目指しました。
その時はそんなに玉葱切るのがキツいとは予想もしていなかった。
サクサクと音が響いて、嫁が「調子いいじゃない」なんて声をかけてくる。
嫁はビールを開けてそばに置いてくれた。
オニオンスープはたくさんの玉葱を入れてキツネ色に炒めます
コンソメと塩コショウですごく美味しい。
嫁が向こうの6畳間で掃除機をかけ始めた。
まだ知り合ったばかり。一緒には暮らしていませんでした。
ふと、ずっと一人だった自分、歪んだ自分を思い出したような気がした。
そうしたら目がウルんできた。涙が出てきた。
悲しいわけはないのに、なんだか楽しくて、ありがたくて嬉しくて、涙が止まりません。
玉葱のせいだとやっと気づいたのはその涙が頬を伝って舐めた時。
しょっぱい味がした。
まるで自分を癒すように自然な涙がホロホロと出た。サラりとした涙が頬を洗った。
まるで漫画ですw。
話に聞いていたようなことそのままで、それも可笑しくて可笑しくて。
玉葱で流した涙は幸せな味がしました。
私はあまり泣けない人間。涙の出ない人間です。
玉葱に助けられて、少し癒された気がしました。
このことは嫁には気づかれずに済んだ。
今だったら、そんなのフープロで一瞬なんですけれどもねw。
めいしくおしあがれ
