やっぱりイカパスタならイカワタ・パスタ
もう外食をしなくなって久しい。
☆
昨晩はちょっと遅くなったがイカのパスタにしました。
昔、パスタなんかもイタ飯屋なんかに食べに行ったするようになって、細麺や太麺のパスタがあることに驚いて目からウロコの状態。
スパゲッティのサイズが選べるなんてとんと知らなかった。
まだデュラム粉のセモリナというのが常識でもなってなく、小麦粉のたくさん入った「うどん」のようなパスタを食べていた時代をひきずっていた俺。
オーマイ© ・ごっど!www
やがてイタ飯屋があちこちにできるようになった都会。
せいぜいタバスコとパルメザンチーズを出す喫茶店のランチサービス程度でパスタをいただいていたものが、やがてイタリアン専門店なんて店が登場する。
そしてタバスコにも色んな種類があることを知り、びっくり仰天することになる。
バリラも、ディチェコなんて、
俺は知りもしなかったよーーー、 ママー© !www
そうして私は、またひとつ大人の階段を昇ったのであった(笑)。
ドウユウ・リメンバー?
そうやってその頃、知り合ったばかりの嫁と、店のイタ飯を食べ歩いていると、イカパスタなんてものもよく食べる機会があった。
女というのは早熟なものだ。 嫁は早くからそういう「イタ飯」という楽しみを知っていた。
まあ嫁の方は喫茶店のランチなど知らなかったから、勝負は引き分けだ(笑)。
イカのパスタは安いしボリュームがあるから、頼みやすい。
最近はイカが高いが、これは不漁のせいというだけ。
当時、とりわけイカのパスタのボリューム感なんてのは若い胃袋にはうってつけだった。なにしろ牛肉なんて今より高かったんだから。
たいていトマトベースのソースに仕立ててあった。
ニンニクが少し炒めてあってほのかな香りがある、イカ、タマネギ、そしてトマト。オリーブオイルの香りもする。
そんなのがどこでも、ごく基本のもののように思えた。
出来上がりにパセリが散らしてあって、お洒落。
ヒマワリかなんかが描かれている洋皿に盛ってある。ギリシャかなんかの輸入の平皿。
盛り付けのセンスもよいw。
そしてサラダとスープ、コーヒーかなんか、デザート。
嫁と二人だからと、赤のハウスワインなんかを頼んだりした。
ハウスワインというのは安いグラスで出されるワイン。
ありがちな、ささやかなコースメニュー。
それでも、今思えば、材料と手間からしたら結構お高いものだった。
今は何でも自分で作るのが最高だと思っている。それは真実だ。
でも、そんな振り返りがあったとしても、最近は私はイカを丸ごと一杯買うと、たいていはイカのワタごと調理して塩味にしてしまうことが多い。
やはりイカはパスタにするなら、そのワタを捨てずに使って、イカ自体の味を味わうように作るのが最高だと思つている。
塩味とニンニク味、その他のハーブだが、イカワタがベースなのでトロ味さえある。イカワタの匂いが強く香る。
やはりこれだと思う。
トマトなんか入れてしまうと美味しいは美味しいが、何の味だか分からなくなってしまう感じだ。悪くはないが、ある意味でイカを味わうことができないほど完成された味になる。
よい味ではあるのだが、調理人の味。
複雑で、上品だが、すっかり調理済みということ。他に味わいようのない、いわば「逃げ場のない味」になってしまう。
それならむしろ、イカワタパスタの方がいいと私は今はそう思う。
素朴で、イカらしくて、濃厚な味わいが口に残るのがよい。
そしてイカの味わいだけを舌に遊ばせる自由さ。
こういうのはシンプルな調理方法の利点なのだと思う。
濃厚な味わいが残ったところ、そこをワインで口を洗い、満腹感、ほっと一息なんて(笑)。
これが美味しい。
「野趣あふれる料理」というのもこんな感じの延長だろう。
ちなみに、イカ墨スパゲッティとはこれは違う。墨袋があっても一緒に調理してしまうけど、正しくはイカ墨スパゲッティは「スミイカ」を使い墨袋だけを使う上品なもの。
なんなら輸入食材の店で缶詰の本格ソースがよく半額になっている。あれなんてサイゼのものなんかよりずっと本格的なものだ。
そして二人でイカ墨のパスタをいただいたら、「クチが真っ黒けだよ」なんて言って、、、ああ、これは前に話したネタだ(笑)。
ともかく、逆に思うことだが、なんでこんな美味いものを当時の店は作らなかったんだろうと思ったりする。
イタ飯屋だってこんなイカワタ・パスタを出したらよかっただろうに、そんなことを考える。
確かに昔はイカワタなんてたいていは捨てていたものだ。
使うなんて聞いたこともなかった。
それに昔のスーパーではイカはワタを抜かれて売られていたのがほとんどだった。
イカの塩辛を作るならまだしも、イカワタはあまり重宝されなかった。
しかし食べたら毒というのでもあるまいし。物流や冷凍の技術ということもあったかも知れない。
ただ、店のことを考えるに、これは商業ベース、プロの調理人としては出しにくいものがあったのだろうということ。
匂いが強いし、コクにもクセがある。
嫌いな客もいることだろう。
最大公約数的な趣味からすれば、どうしても外れるというわけか。
しかしどんなに宣伝をしたとしても来る客は半径10キロ、20キロ程度の客ではないか。
都会でだって、どれだけ遠方の客がつくだろうか。
だから、調理人が自分で美味いと思ったものを出せばよいではないか、そんなことを思うが、「レッテル」というのは実は怖いものがある。
「野趣あふれる」と言ったら聞こえはいいが、「素人っぽい」、「雑な料理を出す店」なんて風評が立ったら、お洒落にめかしこんだ連中はとたんに来てくれなくなる。
彼らはその上流の立場から、常に洗練されたものを食さねばならないから。
ほら、「娼婦のパスタ」という名前のパスタというのがある。あれだってわざわざ名前からしてそうだ。「これは品のある四つ星の高級レストランで出すようなパスタではないよ」なんてやっているのだ。
結局、そういうことなんだろうと思う。
要するに上流の連中には食えないものを我々は食べているということ。
三ツ星、四つ星なんかでは味わえない美味しいものを我々は食べているのだ。
その値たるや千金。
感謝だ(笑)。
「乞食と王子」、その話はまだ生きているというのがこの話のオチだろうか。
いや、それを言ったら「目黒のサンマ」の方がいいwww。
嗚呼。
上流の人々というのは、何かかと可哀想なところがあるものだ。不自由で窮屈。
できれは私が代わってやれるのに www(笑)。
おそまつ
※ 先日から卵というお題があったが、イカワタと卵は合わないだろうとは思う。
卵は臭みを和らげる。優しくしてくれるものだが、イカワタと合わせると強烈に生臭くなると霊視しますw。
イカのお好み焼きなんてのはいいけどワタはない。
そりゃあ身とか三角のペラのところを刻んで、お好み焼きの具にすればそれは美味いだろう。
しかしそれはまた別の話w。
