割れ鍋に綴じ蓋
夫婦のこと。
☆
割れた鍋、ヒビの入ったようなウチが使っているような鍋のことだ。
割れてしまっていたら使えるわけはない。
その蓋の方は、パカリと割れてしまってくっつけたもの。
「ヒビ入った鍋なんてそんな蓋が相応しいものだ、俺の女房なんてそんなもんでさぁ。」
そんな皮肉というか照れ隠し。
ヒビの入ったような壊れかけた男には、修復されたようなオンナがお似合いだと卑下する。
例えば出戻りとか離縁されたとか、昔の成語のことだから流産したとか、そんなオンナが相応しいとか言ってシニカルに気取る。
卑下しているわけで、別に嫁をディスっているわけではない。
嫁が可愛いと思っていると、ついそうやって下に言うのが日本のならわし。
これもツンデレに通じることだろうか(笑)。
それが分からない女もいるから厄介だ。
「いやいやウチのなんてとんとだらしないヤツでして・・・」なんて他人には言う。
すると、後になって「なんで人前でアタシのことをそんな風に言ったのよ(怒)」なんて文句を言ってくる。
ウチも若い頃はそんな風につっかかってきた。
しかし、考えてみれば、その蓋は金継ぎまではゆかずとも、とにかく漆でくっつけるわけだ。
昔のことだ。ボンドやセメダインなんてものはない。
そこまでやるからには「良いもの」のような気はするのだが。
鍋は割れてしまえば使えない。くっつけたとしても器ぐらいにしか使えないだろう。火にはかけられまい。
しかし蓋ぐらいなら、ちょっと直すだけでいい。
蒸気を閉じ込めて蒸らすぐらいの役だ。くっつけるぐらいでも十分に使える。
ただヒビの入った鍋が割れたらどうか。
男はいよいよ割れてしまったらもう仕舞いだ。取り返しはつかない。
綴じ蓋は次の鍋を探し、壊れた男は腹を切る。
女の方が修復しやすいように出来ているということ。
昔の人もそれが分かっていたようだ。
貝合わせなんて言い方もそうだが、鍋と蓋なんて、昔から日本人はエロい洒落が多い気がする。
オカマ、オナベ、オコゲ。そんな言い方になって現代にも生きている。
最近、とある女性が「男性を楽しませることはできます」なんて言っているのを見てドキっとした。
こちとらそれほど根性は座ってない。
ああいうことを言える女性というのは割れてない蓋なんだろう。
ああ、エロいことしたい(笑)。
おそまつ
