みんな卵は半熟が好きなんだろうかと考えた
先日、鍋をやっていて嫁と話したこと。

☆
俺が卵を落として締めにしていたら、嫁も結局真似をした。
腹が一杯と言いながら春雨、そして卵か。
まあ俺も春雨は取りましたけど。
それで鍋に落とした卵を、いい頃だななんて、それぞれ見て引き上げるんだが、お互いに納得できる半熟の状態であるかどうかが大事だ。
半熟にも程度はあるし、二人に好みの違いはある。
嫁はあまりトロリと流れ出てしまう黄身の状態は嫌だという。
うっすらとオレンジの柔らかそうな半熟が好きだという。
要するに色だな。
嫁はよく色のことで料理の評価をする。
ただ、嫁が言うには、
「半熟なんてみんな好きでしょww」
と。
そりゃ程度はある。
でも、半熟は世界中の誰もが好きなのか?
「世界中の人が半熟卵が好きだよ」
嫁は自信たっぷりにそう言った。
振り返って、読んだ小説か何かで覚えがあることに気がついた。
主人公がわざわざ、「卵は固ゆでにしてくれ」なんて言ってた。
「シェイクでなくてステアして」と、マティーニを注文するようなこだわりの男。
あれ?
それって、「卵の固茹で」ってこと。「ハードボイルド」ってことだよww。
つまり、「ハードボイルド」って卵の固ゆでのこと。「あまり人はやらない」「わざわざ好んでやる人はいない」って、そこから来ているんじゃなかろうか。
何気なく使い続けてきた「ハードボイルド」って小説のジャンルだ。
今は亡き内藤陳によれば「冒険小説」のひとつのカタチ、スタイルなのだが、それを俺は男らしい態度とか、自己研鑽の挙句に行き着く態度、クールでニヒル、どこか武士道に通じるもの、ただそんな風に思っていた。
内藤陳もそういう感じで理解していたと思う。
チャンドラーの話で、新宿ゴールデン街の彼のバーで盛り上がったことを振り返る。「深夜プラスワン」。ああ、あの金は返すよ。そのうち、あの世に俺も行くからww・・・
・・・ともかく、実は俺は「ハードボイルド」の語源なんて少しも考えたことがなかったのだ。
空気のように感じていたような言葉だったが、その原意については考えたこともなかった。
「固ゆでの卵」なんて、実は世界中、誰だって好きじゃない。
だからその誰も好きじゃないことをやる男気を表現した。
別れた女のために命を賭けたり、義憤のためにタダで仕事をしてやったり、許せない奴を追い込んでそれでも最後には弾の入ってない銃の引き金を引くこと。
そんな、誰もがやらないことを「ハードボイルド」と言ったんじゃなかろうか。
どうだろうか、俺には結構な発見に思えてくるんだが・・・。
もちろん、玉子サンドやカルボナーラはまた別でしょうけれども(笑)。
めいしくおしあがれ
