お節料理は何にしますか?
お正月に食べるお料理。
☆
それがお節料理というものです。
だからどうしろというもの、何を作らないといけないとかは実はあまりない。地方にもよりますし、結局は自由なのです。
先日述べたような、日本人の文化的包容力からすれば、「寂しい正月」とか「外れた正月」など本来があり得ないものなのです。それぞれの正月というものがあります。
独り身でも、大家族でも、ふたりきりでも、大家族でも、とにかく正月ならではのことをやってみる。暦という形式に合わせてみる。正月だからと、ちょっと普段はしないことをやってみる。
それがお節料理ということの真髄だと思います。
だから、別に豪華で高価なものでなくてもよい。
カニだの刺身だのステーキだのなくてもいい。
ウチだって半額が手に入らなければ、何もなくてもいいと毎年思っています。
人によったら、正月から焼肉や寿司なんて家もあるだってんです。
自分にとっての正月気分が味わえればいいのです。
煮物。
普段、煮物を作っても、二日、三日と続けて温め直して食べることはあまりしません。
だから正月ならではということで、まさにこれがメインとなるでしょう。
手間を省いたお料理。
伝統的解釈によれば、「嫁さんの手間を省くため」という説があります。
正月ぐらいは日頃忙しくしている嫁にはゆっくりしてもらおうと、保存のきいて手間のかからないものを作らせる。
それが煮物というわけです。
煮物を温めるだけ、嫁さんはほとんど働かない、そんな生活は普段しなかった時代ですから、お正月ならではのことでした。
酢の物。
正月なのですから、普段はあまりやらないものを酢の物にしてみましょうということ。
酢に漬けるだけ。
それでとたんに保存が良くなります。
そしてクチがスッキリします。酒にも合う。
あなたも、「強酸党」に入党できるのが正月ですwww(笑)。
そして、保存がいいからなんて言って、ナマスとかワカメとか、正月休みをいいことにこれらをツマミなんかにできる。ノンビリ食べて呑む。
これもまたお節料理のひとつです。
まあその時、テレビを見るかどうかはまた別の話ですが・・・。
ハム。
ハムなんてまさにお正月ならではのもの。
普段はハムを切って、そのまま食うなんてあまりやりませんでしょう?
たいていハムを食うには「目的」というものがあります。
だってハムなんですからwww。
サンドイッチはもとより、チャーハンに入れるとかパスタの具にするとか、ラーメンのトッピングにするとか。必ずハムの役割を活かしていただきたいというもの。
ところが、それを「お節料理だから」なんて言って、切ってそのままいただいてしまう。
まるでキャビアをツマミ食いするような贅沢です。
だってクラッカーがないんですから(笑)。
これぞ、豪勢そのものではありませんか。
普段は絶対にやらないと言っていいのに、正月は和がらしと醤油でハムをそのまま切って食べたりします。
サラダに混ぜたりせず、そのままいただいてしまう贅沢感。
目玉焼きもつけない。もちろんご飯だって食べないんですwww(笑)。
ローストビーフにしたって焼き豚にしたって、ウチは自分で作りますが、それだって正月風に盛り付ければ食べ方がまた違うというものなのです。
付け合せなどありません。
そのまま肉として食う。
その贅沢感(笑)。それが正月気分ということです。
そして、「雑煮」ですね。
しかし、要は餅があればいいんです。
いつもの味噌汁でもいい。それに餅が入れば雑煮になります。
ああ、できればそこにちょっとだけ砂糖を足してみてください。
ごくわずかの量でいい。
これは雑煮のヒント。
雑煮と味噌汁、同じように思えても雑煮は少し甘い。それがハレの日の味。
そうすると、とたんに雑煮っぽくなりますよ。
醤油系の雑煮もありますが、これも少しだけ甘い。
これが難しいと思ったら、味噌汁を少し甘くしたものと考えたらよいのです。別に出身が違っても日本のどこかでは味噌ベースの雑煮が同じ時間に食べられています。
遠慮することはありません(笑)、我が国の国民としてお互いにどこかで共有するものがあれば幸せです。
しかし、つくづく、餅なんて不思議と正月だけのものなんですよね。
製造業者が聞いたらきっと困ったりするんでしょうけど、ウチも正月気分がある間は切らしたらわざわざ買い足したりもしますが、その正月気分がスッと抜けると、もう意地でも食べたくなくなってしまうものです。きっと売り上げの8割は正月に集中しているはず。
ウチはとうとう、今年の正月の餅が冷蔵庫にまだ残っているという状態で本年令和の年末を迎えることになりました。
ほぼ一年前の餅が冷蔵庫に残っているのです(笑)。
カビてるかなんて、確かめる勇気すらずっとありませんでした(笑)。
これは必ず来年の正月に食べます。
かように正月は特別な暦です。
クリスマス・イブが聖(性)なる日なら、正月は呑みと食べのカーニバル(カンニバル)の期間。
そうして日本人は気持ちを切り替えてゆくのでしょう。
お節料理はそれらしく作るだけでよいお料理です。
誰でもできる。
何もなくてもいい。簡単でもよい。
みんなが、この時機に食べるものは特別と思って、あまりしない食べ方をするからの贅沢。
それがお節料理のご馳走ということの真髄なのだと、私は思います。
ウチは今日、年末31日のまさにこれから、この時間から
ギリギリからの買出しが恒例です。
毎年がスリリング(笑)-。
何にもなければ基本に戻り、何か手に入れられればそれを幸いとして感謝していただきます。
まるでダメだということは常に想定内。
いつか、もしうまくいかなかったら、それこそ何もない、漬けものと餅だけのお正月を迎えてもいいと思いつつ、飽食のこの日本では半額やら処分を手に入れられて、色々と買ってしまうというのがこの時期でもあります。
どうぞ、よい新年をお迎えください
