焼きうどんの思い出
令和元年おめでとうございます。
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焼きうどんの思い出を振り返るお話です。
昔、仕事の付き合いがある人から深夜に呼ばれました。私は腰が軽い(笑)。
行ってみると、そこはラウンジ風のBarでした。
ビルのワンフロア、内装が随分と派手なラウンジというだけで、特別なお姉さんたちはいません。
和服の初老のママと、キリリと蝶ネクタイでめかしこんだ初老の旦那、それから派手な太ったオバちゃんが一人。やはり小柄の太った少し若いオデブちゃんかもう一人。店内はとても広かった。
そこには我々だけが客でした。深夜だったと言え、ちょっと奇妙な感じ。
今思えば、そこは元は、お姉さんたちがいっぱいいたラウンジで、昔はさぞかし賑やかだった店なんでしょう。ラテンクオーターとまではいきませんが、きっと派手な紳士たちの社交場だったはず。スパンコールの女性たちが、踊るように各席を飛び回っていた頃の様子が私には見えた気がした。
そしてすっかり時代が代わり、潰れたかどうしたか、居ぬきでオーナーが代わったんでしょう。
もしかするとこの初老のママは金貸しだったのかも知れませんwww。
余るほどの椅子やテーブル、広い店内、ステージ、スポットライトの照明、シャンデリア、などなど、考えてみればそこにいるBarの面々からすれば店は大き過ぎて広すぎ、とても場違いだったのです。
その、まるで豪華な廃墟のようにさえ思えるBarで、私はカラオケに付き合い、さんざん飲みました。
今、振り返ると幽霊たちとダンスしていたような感じの夜でした。
そうして、たあいもないお喋りに付き合って明け方近くなり、
ママが「腹が減ってないかい」と聞いてくれた。
「ちょっと流石に減りましたw」なんて言うと、「焼きうどんをつくってあげる」とその婆さん。
めかしこんだ旦那は昔はどこかのコック長だったらしくて、腕まくりをして奥のキッチンに引っ込んでいった。これは楽しみだと思いました。
出てきたものはなるほど、焼きうどん。
具の多い、ゴチャっとした感じが家庭料理のようですが、見るからに美味しそうでした。
ノリタケの金縁の大皿が似合わないゴージャス感(笑)。具が沢山入って白いうどんが少しソースの色をつけて見えています。
そしてゴマや青ノリなんかがかかっていて。紅生姜も。
なるほどこれがちゃんとした焼きうどんか。
みんなでこれを銘々取って食べました。
口に入れると、うどんがヌルっとしています。そしてうどんにはちゃんとコシがある。
とても美味しい庶民的な味でした。
ああ、これは茹でたら洗ったりなんかしてないんだ。
その時にやっと分かったのでした。
焼きうどんってのは、うどんを茹で上げたらウスターソースをベースの肉野菜炒めとサット和えているだけ。やっとそれがわかったのでした。
今ではその応用で、焼きソバとかも上手にできるようになりました。
つくづくB級ならではの楽しみというのもあるのです。
めいしくおしあがれ
