嫁が汁を残すとき
作った汁を残さない時、嫁はおいしいと思っているようだ。
汁の残り具合でどうだったかが分かる。
大事なことしか話さない。しかし、その大事なことと言うのは嫁が考えているというだけであって、黙っていられると困る大事なことがあったりする。
だから俺は聞いた、今何を考えてる? と。
そして「何も考えてない」と言ったのは昔のこと。
それで俺は、そんなこたーねえだろうと荒れたことさえあった。
人間何も考えなんてことは悟りを開くぐらいしかねーんだ、さあ今、お前は何を感じて何をその頭に考えてみるか言ってみろ。なーんて。
そんなんで俺は大暴れしたことがあった。
それこそモラハラでDVだ。
しかしそれでも嫁は白状しなかった。
言葉をしょっちゅう節約した。それは今でも時々やりやがる。
損だから、どうせ突っ込まれるからと何も喋らない方がいいと言わない奴らがいる。俺はそういう態度は許せない。
ひたすら何も考えてネエと言い張る。そしてオンナというのは叱っているとその挙句に話の途中で寝るのだ。
よし、そんなら今まずは落ち着いて話そうじゃネエか、そうやってやっと落ち着かせていくつかを話す。ほれみろ、人間は何も考えないなんてそうそうできるもんじゃない。何も考えないなんて悟りが必要なぐらいだ・。
その後、ずっと後になって俺はもうそういうことは言わなくなった。
嫁が何を考えてるかがわかるようになったからだ。
言葉を節約しやがるのでそれで叱りつけるときは今でもある。こちらは先回りしているから時には嫁には意味が分からなかったりする。
俺は追及する。その追求を放棄はしない。しかし嫁はそれを放棄する。寝てしまう。
ある時、そういう放棄や怠慢、だんまりを決め込む奴が相手の仕事があって、嫁にみせたら少しスムーズにいくようになった。
自分以外人間のダメさはわかるようだ。怒りさえ湧くらしい。
対話の放棄、あけすけな責任回避。どれも俺が嫁に感じたことのあることだ。
嫁はそうして話すことの重要さが少しはわかったようだ。
対話は重要なことだが、それを放棄しているような奴に何が悪いか分からせるのは難しい。
