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とうとう給湯器を交換した時のこと

風呂の給湯器がとうとう壊れたのだった。
 給湯器は予備があった。 あとは取り付けるだけの話だ。
 問題はこの真冬に風呂に入れないということだった。
 そうそうは待てない。
 とにかく、すぐにでも業者に取り付けを頼まないといけない。
 これが俺たちの問題となった。
 なんだか時間との戦いになってきた。


・・・
 早速ネットで格安の業者を発見した。
 少し遠かったが連絡をしてみるとスケジュールが合えばわざわざ来てやってくれるという格安の業者がいた。
 こちらは余裕のあるフリをして、都合がいい時ならいつでもいいと伝える。
 これりでスケジュール調整はできた。

 それからやむなく十日余り風呂なしで待つことになった。
 嫁のスポクラでサウナと風呂に入り、スーパー銭湯で体を流したりすることになった。
 一日ぐらいはと風呂に入らない日も作ったが、そうするとなんだか頭が痒くなったりした。
 嫁は毎日は髪は洗いたくないという。髪が痛むんだとか。
 俺は毎日でないとちょっと痒い。

 まだその時は俺の毛髪は薄くなってなかったんだろうか。
 いや、あれはついこの前のことなんだが・・・(笑)


・・・
 約束の日に業者がやってきた。
 大柄な男とアシスタントの華奢な感じのショートカットの女の子。
 女の子は弟子か付け人のようにしていた。

 俺は保管してある給湯器を見せた。
 ピカピカの給湯器だ。

 この給湯器は架台が必要だった。
 直前にわざわざネットで専用の架台まで買っておいた。これも渡し、ネットで取り寄せた施工説明書を印刷したものを渡す。手順はわかっているようでもミスは許されない。
 職人とてわざわざ聞く恥はかけないだろう。
 俺はさりげなく、「こんなものとっておきました」と言っただけだ。

 設置までの準備は万端だった。


 作業が始まった。
 もう寒いので作業の合間に出すよう缶コーヒーを鍋で温めた。
 俺はいつもこういう配慮はしている。
 作業をやってくれるからと、別に卑屈になっているからではない、カネを払った以上の成果を出してもらうためには、こちらからも後押しし誠意を見たいからだ。
 世の中にはカネを払ったのだと横柄にして任せきりで平気な連中がいる。
 俺にはその意識がよくわからない。いちいちでシロウトがしゃばるのは問題だろうが、こちらで見守っているというのは現場の人間には大事な安心感になる。そういう包容力は必要なのだ。
 俺はオンナにはあまり包容力がないのに・・・

 まあ昔から植木屋でも職人でもお茶の時間には出したりしたものだ。

 どうせカネを払っているというのに、ありきたりの成果しか求めない理由が俺にはわからない。
 もっと、もっと頑張ってくれと、患者になるにしても医者を応援するというのが普通じゃないか。
 そんな礼を無駄と思う連中には成果以上の働きは誰もしてくれないだろう。
 そんな関係でもしクレームをつけたって、「標準のことはした」と突っぱねられるのがオチだ。ないものねだりにしかならない。
 問題は現場の気持ちの問題だ。
 現場を使え。そんなことはマネジメントをするなら誰だって知っている。
 なのにそういう重役連中が自宅の日常生活ではめっきりできないというのは不思議なことだ。カネは払ったぞ、などとたいていはふんぞり返っているだけ。
 実は社でも同じようにしているということだ。

 だから破綻していしまうのだ。


 風呂の給湯器の交換は既存のパイプを使って本体だけを交換する作業となった。
 耐用年数からすれば全部交換してもらいたかったが、さすがにそれは時間とカネがかかるそうで、それに一般的にはたいていそれでやっているというから納得した。
 実は新品のパイプすら手当てしていたのだったが、これはまるで使わなかったということで後日買った部品店で返金してもらった。

 弟子と親方が色々とやり取りをしている。
 どうもOJTの要領で色々と教えてもいるようだ。
 こうやってチャッチャとやってしまえばいい商売ということなのだろう。
 それこそ毎日なにかしらの作業を五、六軒、複数入れているようだった。能率が実にいい。

 外の据付けと配管が済んで、今度は風呂内部の操作盤の設置になった。
 これを給湯器メーカーは「リモコン」と呼んでいるのだが違和感はある。
 別に赤外線で飛ばすものではないし、有線だから。
 まあ、細かいところはともかく、そうやって作業は順調に進んでいった。


 突然、親方の携帯に何か電話があってバタバタとしている。
 どうも近所に止めたバンが駐車違反だとかで警官が来ているのだという。
 困っている。
 親方も慌てている。
 どうした。なにがありました?
 聞けば、この親方、はるばるやってきてくれたはいいが、今は免停で実は免許は所持していないという。それじゃ無免許じゃあないか。

 いや、めんぼくない。
 って、どうしようもないじゃないか。
 こちらの作業は中断させるわけにはいかない。
 俺の宇宙船の交換作業中なのだ。


 「俺が行く」と俺は制止し、クルマを止めたという場所まで走った。
 「そのまま作業を続けていてください」
 二人とも大人しくしていた。
 ききわけがよいと貰いも大きいものだ。


 現場についてみるとどうも誰かがチクったらしい。それも広々した何もない場所での駐車だ。
 遠くからこちらをコッソリと見ている老人ジジイがいた。
 なんて奴だ。
 見るとその停めたバンの中では犬がワンワンと鳴いている。気性のアレなポメラニアンだった。
 どうせ作業はすぐ済むと思って連れてきて車内に置いてたんだろう。
 警官は犬が気になるらしく、運転手はどこへ行ったかと聞く。
 愛犬家なんだろう、犬のことを心配している。バンに閉じ込められたまま窒息しそうにワンワン鳴いているように見えるからだ。

俺 「いや、今この業者にはうちで作業してもらっているんだが、運転手は途中で出かけてしまっている。どうしたらいいか」
警官「通報があったのでね」
俺 「しかし駐車違反といっても、これは臨時のうちの作業でのことで確信的なことではなかったんだ。」
警官「まあまあも、それは別に怖がることはないんだ。別に駐車違反でパクるような話じゃないんだ。しかし何よりこの犬はどうするんだ。どうしたらいいんだ、ずっと鳴いているぞ。」
俺 「すぐにでも連絡させるようにする。犬は大丈夫だろう。バンと言っても密閉されているわけじゃない。今、ウチには助手が残っているから連絡させてみる。何ならこっちに来てみるか?」
警官「いや、それはいいんだ。そっちとは関係ない話だ。とにかく運転手さんが一旦はこっちにきてくれないといけない」
俺 「わかった。伝える」


俺は走っていって状況を親方に伝えた。
「とにかく誰かが運転していたことにしなきゃいけないことになった。駐車違反は大丈夫のようだ。しかし、とにかく免許のある人物が代わりに必要だ。」
「あいわかった」
「どうせ免許証は見せることになる。だからあんたではダメだ」
「あいわかった」
 助手は免許がない。
 あちこち仲間やら知り合いに連絡してみて、やっと親方の嫁が近所を走っていたのを捕まえることができた。それなら名義もバッチリだ。
 こっちに運転手としてこさせることになった。

 「まずは落ち着いた。では作業の続きをお願いします」
 「あいわかった」


 俺は警官のところにまた返して、どうやらインキーだというので取りに行ったらしいと弁明した。
 「あいわかった」
 どうも暫くはそこで警官はブラブラするつもりらしい。呑気にしている。

俺 「運転手本人には伝えたが、そんないきさつなので帰ってくるのに一時間ぐらいはかかるだろう」
警官「あいわかった」
 その運転手本人は親方としてウチで作業を続けていた。


 帰ってみると親方はまた別な問題を抱えていた。
 「なんかこれ、どうしても点火しない。リモコンが効かない」という。
 「これを見てくれ。」どうも中からの点火ができないらしい。
 スイッチを入れて、電流が回る。外の給湯器の配電盤から操作すると点火ができるが、リモコンからやるとそれができないらしい。
 「何かの回路ではないのか?」
 「調べてみる」

 見るとそこにはまさに宇宙船のような金や銀のフィルムで保護された回路があった。
 こりゃあやっぱり宇宙船じゃないか。
 やはり給湯器はピカピカの新品同様だった。
 そこには錆さえない。


 ほとんど設置は完了しているが肝心の回路で何か問題があるのだった。
 「これだから中古ってのは設置が保証できないんだ・・・」
 親方からはブツブツと恨み節が出ていた。

 作業を見て回る必要があるような緊張感があった。
 家の中では、助手がリモコンの設置をしている。
 古いリモコンを分解して、その古い配線を新しいリモコンに接続する作業だ。

 ねじを外すのに苦労しているようだからと、俺のドリルドライバを貸してみた。
 職人なら自分の道具を人になぞ貸さないだろうが、こちとらは持つには分不相応のシロウトだ。構わず使ってくれ。
 すると、その助手、手も添えないでいきなりドリルドライバを回したもんだからリモコンの方がぐるぐると回った。あちこちに置いといたネジやらワッシャーが飛び散った。
 ヲイヲイ、大丈夫かよ。

 「・・・で、、ですよねぇ(笑)」
 なーんて。

 笑う。
 笑い死ぬ。
 おまえら・・・(笑)www

 しかし、そうとも言ってられないのはこっちの方なのだ。



 また外の親方が何かブツブツ言っている。

 行ってみると、やっと原因が分かったらしい。
 「どうもこのコネクタが外れていて、つながないといけないようだ」ほう。
 「で、これはこんな感じでここにつながる筈なんだけど、この通り、挿してもつながらない」ほう。
 見るとまるでこれはPCの部品と同じ奴だ。
 アクセスランプとかスイッチとかが刺さる小さなコネクタ。
 そのコネクタの内部が舐めてしまっていて閉じてしまっているので刺さらないのだ。

 俺はちょっと待ってくれと言って部屋からニッパーやら何やら電子工具の道具を持ってきた。
 「やらせてくれますか」
 「え、ああ、どうぞ」
 
 どうもただのY字コネクタで、それが潰れていて、刺さらないだけだった。
 これひとつで点火できないなんてなんてデリケートなマシンなんだよお前。
 我が宇宙船は金色のホイルに包まれた心臓部を誇らしげにこちらに見せている。


舐めていたコネクタのノッチを起こして、挿すとちゃんと抜けないように刺さった。

 親方にやってもらうと無事に給湯器が稼動した。
 「・・・スゴイっスね」
 「いやいや、・・・これはこっちの世界では基本だから(笑)」


 ・・・おいおい! 俺! てめーーー!
 いったいなんちゅうことだ・・・。
 今、振り返れば、なんちゅうありきたりのセリフを俺は言ってしまったんだろう。
 そこは大団円だったってのに。
 盛り上がるところだったのに。

 思い返すと激しくすごくひどく猛烈に後悔してしまう。
 ブレイキングバッドのように言いたかった。
 そこはまさに言うべきだったところなのに。
 「簡単な電子工作だよ(ニタリ」
 なーーーんて。

 俺はハイゼンベルグのように軽く言えばよかったのに。
 後悔先に立たず。俺の人生はこういう言い残したことで一杯だ。
 いつもちょっと思い出すと猛烈なストレスとともに後悔が襲う。
 ヲイヲイ、つうか、あの時はブレイキングキングバッドなんてなかったかwww。


 ともかく交換工事は無事に終了しつつあった。
 おまでとう。
 なりがとう。


 部屋の風呂側に戻ると助手が壁にリモコンをつけているところだった。
 女の子が言う。
 「さっき親方が言ってましたけど、前のは今までみたこともないぐらい古い給湯器だってw」
 あーーそうかよ(笑)。
 そりゃ悪かったな(笑)。
 なにしろ昭和40年代だもんな。


 クルマの件も電話があってどうも嫁さんが来てくれたらしく、何食わぬ顔で警官と接触、どうやら警官は無事に帰ってくれたらしい。
 少し予定より時間が経ってしまったらしかった。
 次のスケジュールがあるらしく親方は客先に電話している。
 遅延しての作業の許可を求めているようだが、それではまたこのまま無免許で行くのかい?ww

 またもうひとつ缶コーヒーを温めて、帰り支度の連中に差し入れした。
 今度はブッセもつけた。
 ヤマパンだけどブッセってのは美味いんだぜ。


 「お疲れ様でした。色々ありましたけど無事に終了してよかったです。」
 
 諦めないでいたらちゃんとやれたろ? とは、俺は言わなかった。
 言いたかったけどなww。


 親方も助手も身支度を終えるとあっさりと次の現場へと出かけていった。
 色んな思いはきっとあったに違いがない。

 作業料金は1万8千円。税別。
 古い給湯器もちゃんと回収してくれた。



 ありがとうございました。
 お互いにいい経験になりました。
 とても楽しかった。



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