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時代物好きな人の想い出


 それはアタシがまだ若い頃の振り返りのお話。
 時代物や古道具が好きな人が身近にいて、アタシは古物骨董のことを色々と教えてもらったものでした。

 モノの見方、見るコツ、手に入れるための交渉術、色んなことを教わった。
 歴史をあまり知らないアタシには勉強になったものです。

 それからアタシもささやかながらコレクション的な蒐集をするようになり、暮らしに深みが持てた。
 まあ、18金を拾っちゃうような人の境地まではまだ遠いんだけど(笑)。


 そこは「とび職」が入るような現場で、少年のアタシは仕事をしていた。
 いつもの親方のところにやってくる彼はその親方の昔からの仲間だった。

 その頃は専門のとび職というのがまだちゃんといて確立したスタイルもありました。
 呼ばれると来て、自分の担当の高いところの仕事を片付けてゆく。
 足場も組まずに高いところをヒョイヒョイと曲芸のようにして仕事をしたものです。




 好人物でハンサム、短髪でいつもヒゲを清潔に当てていて、実に粋な人だった。

 彼は休憩になるとキセル(煙管)をよく吸っていたものです。
 今のアタシが煙管を吸うことを思いついたのも彼の影響があったかも知れません。
 アタシの場合はタバコ増税からの生活防衛でしたがw。


 長いハッピに股引、金太郎さんのようなスタイルの黒い腹掛け、そして足袋という格好で来て、脚絆さえ巻いて来た時がありました。脚絆というのはゲートルみたいなものです。
 スタイルがバッチリ決まってた。

 江戸っ子らしいキップの良さもありました。


 いつも可愛らしい弁当を持って来ていたものです。
 さぞかしキレイな奥さんがいるのだろうとアタシは思っていた。

 しかし泰然自若としたところのある人、そんな人はあまり自分のことを話さないものです。
 彼がどんな家庭を持ってるかは誰も知らなかった。

 弁当だって目立たぬようにしてトラックの運転席で食べていた。



 「あの人は時代物を集めてる。」
 「目が利くから時代物や古道具のことなら彼に聞いたらいい。」
 「何か持ってったら買ってくれるかも知れないぞ。」

 時代物好き、そんなことがこの人の評判らしい唯一の評判だった。


 今思えば、良いモノとの縁、そんな出逢いのために自らそういう評判を立てていたのかも知れません。

 女性にモテようとして自分から好人物だとの評判を立てる、そんなのに通じるものがあるかも知れませんでしたw。そんなことを言ったら気を悪くしたかも知れなかったけどw。


 そんなある日のこと、一服の休憩をしていたらその人と話になって、彼はふいにアタシに言った。

 「今な、俺ぁ長火鉢が欲しいんだよ。お前、知ってるか?」

 なんてアタシに聞いたものでした。
 闊達な言葉遣いだったからアタシも合わせた。

 「長火鉢ってどんなもんです? 普通の火鉢と違うんですか?」

 「若けえと知らねえかもな。銭形平次なんかが前にしてキセルなんかを吸ってるアレだ。」


 するとすぐにアタシには想像ができた。時代劇によくある場面です。
 帳場みたいなところに置かれた台みたいなの。四角い箱型のものです。

 火鉢ですから中に炭が入っていてゴトクの上には鉄瓶なんかがかけてある。
 その前に座って火箸で火の面倒を見ている。煙管に火をつけている。そんな光景。


 ああ、ああいうのがあるといいかな、素直にそう思った。
 粋でオトコらしい風情だろうなと、アタシは共感が持てた。
 長火鉢の炭の面倒を見ている自分が想像できたものです。


 「ああいう火鉢って手に入れるの難しいんです?」
 
 「いいものは難しいな。細工がちゃんとしてて、銅か何か裏打ちしてあるのなんか最高だがな。」





 「いいものほど修理なんかがしてあるもんだ。継いであったり繕ってるとボロだとみんな思うもんだろ。けど良い物だから直してあるんだ。そこが狙い目さあね。」

 そんなことを彼は教えてくれた。
 学卒ではなかったと思いますが、彼にアタシは「教養」を感じたものです。


 「昔のものは作りがいい。時代物を触っているとな、人生がいとおしくなる。」
 「昔の暮らしと今の暮らしはそんなに変わっちゃいない、そう思える。」
 「ああいう時代物の味』ってのは一度分かると面白れえんだ。」


 古伊万里、文鎮、掛け軸、カンナの刃先だけでも刀でも何でも。何かしら専門のコレクターというのはいるものです。
 そして漠然と時代物を好む人もいる。
 骨董屋に行くとすえた匂いにうっとりしてしまいます。


 彼は「カネができるとつい買っちまうんだよ。」、そんなことをよく言っていました。
 カネが足りないと手元のものを売って、また買う。そんなことを繰り返してるんだとか。


 買っても売り飛ばしてしまうなら、それじゃあカネが減ってゆくだけかというと、そうでもないらしい。買った時機やモノによっては高くなることもあるんだとか。

 そしてそのカネを探してきた「良い物」のためにまた使うわけです。



 別に商売じゃないですしお金には限りがあります。
 他に欲しいものができるとそっちを買う代わりに持ってるモノを処分することもある、そんなことを言いました。


 所有するのは一時的なものでもいい要は良い物を探して見つけること、彼の楽しみはそんな楽しみだったのかも知れません。

 時代物と出逢って少し付き合って、そしてまた「放流する」わけです(笑)。そんな楽しみです。


 現代ではこうしたコレクターは稀だとアタシは思います。
 みんな所有しちゃうwww、独り占めにする。独占してしまう。
 あまり市場に流したりはしません。

 彼らはその所有した喜びのまま墓の下まで持っていく。
 せいぜい遺族が美術館や博物館を開くとか、どこかに寄贈することになってやっと世に出るぐらい。
 それもその人が亡くなってからのことになりますから、モノが再び世の中に出るサイクルは長くなってしまうわけです。


 そんな風潮は今でもあると思いますが、バブルでアブク銭が入った時がその転換点だったようにアタシには思えます。
 コレクションという趣味が「資産運用」という風になっていったからかも知れません。

 彼の話はそれよりもずっと前のことです。




 彼は「欲しいモノにはこだわりが出来るといい。だからこそ探すのが楽しい。」、なんて、そんなことをよく言ったものでした。
 「こだわりから探すんだ(笑)。」なんて。


 そうしてアタシはこの人に「和同開珎」を売ることになったのでした。
 いわずと知れた日本最古の大量生産された貨幣です。
 子供の時分の教科書にも載っていました。


 それはアタシが当時持ってた唯一の骨董品だった。
 大学教授からいただいたものでした。大事に持っていた。


 大切にして時々机の引き出しからケースを取り出して眺めていたものでしたが、カネに困ったのかどうしたか、ある日その人に売ってしまった。
 もしかすると、その時代物好きの彼に意気に感じた、とか。「相応しい人に所有してもらおう」、そんなことを思ったかも知れません。
 その時の心境は今ではよく思い出せないけど(笑)。
 

 「今度、持って来て見せてみ。」
 「ああ、こらあ池とか泥なんかから出たんだな。この小さい穴はガスで開いた。」

 和同開珎は「虫食い」みたいに銅に小さくポツポツと穴があった。
 当時の金で一万円で買ってくれた。
 その値段が高かったか安かったか、それは分かりません。

 知りたくはない(笑)。もう過ぎた取引ですw。



 ちなみに先日にお話した「買取屋」というのはこういう古銭は引き取ってはくれません。買い取るのはせいぜい記念通貨ぐらいだと言ってました。
 
 彼らは鋳潰す原材料を探しているので金だの銀だのの素材が目当てなのです。
 時代物とは関係がありません。


 アタシは昭和天皇の記念十万円金貨を持ってましたが、あれなら買い取ってくれるようです。


 前にお話したかも知れません。
 まだ発売した当初のことでしたから記念金貨にプレミアムの値段がつくはずもなく、アタシは持て余してた。
 アタシはある時、アパートの更新費用にと不動産屋に渡してしまった。

 もちろん「額面」ですから十万円として渡したわけです。
 記念コインと言ってもれっきとした通貨です。そこにプレミアムがつくかはまた別の話。

 アタシは「呪い」をかけるつもりで業突張りの不動産屋の婆さんに金貨で払ってやったのでしたw。


 あのコイン、もし今でも持っていたら26万円ぐらいだとか。2.6倍w。

 がめつい不動産屋の婆さんだって、いくらなんでもそんなには長く持ち続けられなかったでしょう。
 そして今では26万円という値段を聞いているのか。手放したことを後悔しているかも知れないのですw。
 アタシからのアッパーカット。後からじわじわ効いてくるw。
 まあもう亡くなっちゃったことでしょうがw。


 持ち続けるってのも難しいことなのかも知れません。

 アタシにしたって家内をずっと手放さなかったぐらい、それぐらいが精一杯ですから(笑)。



おうぞどだいじに





※ 和同開珎は真ん中に四角い穴が開いてます。

 この穴に棒を突っ込んで石なんかに擦り付けて丸く形を作った、なんて話を聞いたことがありましたが、ホントかどうかは知りません。

 しかし、そうだとすると穴は四角じゃないといけないわけです。
 回っちゃしょうがない。

 だから今の五十円や五円硬貨みたいな丸い穴は妙な話なのです。

 これにコヨリを通してまとめておく、なんて、そう言っても全部が五並びです(笑)。

 意外と不思議な話なのです。

 こういう穴の開いた流通通貨というのは世界でも珍しい、人にあげると喜ぶなんて話を聞いてたことがあって、アタシは「チップ代わり」にあげたことがあった。

 そしたらポーターが「ざけんなよ」みたいな感じで睨みつけてきたw(笑)。


 まあ、チップにも彼らの生活がかかってるわけです。
 穴が開いたら始末におけない。


ふたたび、おそまつw


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