受け継がれてきた狩りの遺伝子
買い物別働隊の家内が帰ってきた。
アタシはすっかり寛いでいました。
開口一番、家内は「何もなかった。」と言った。
買い物の成果はゼロ。それはしょうがない。
よくあることです。
じゃあ、冷凍してある肉でパスタにでもしようかw。
「でも、(精神的)ダメージを受けたヨ。」なんて家内は言った。
なんてことw。
ダメージ。
例えば買い物して別のスーパーの方がもっと安かった、とか、そんなガッカリというのはあるものです。
ウチはそういう場合は諦めの境地。逃がした魚は小さい。
安いと飛びついたピスタチオクリームがウチにあります。
パンに塗るようなものです。定価1380円が300円だった。
一時、パクチーみたく流行らせようとしたんでしょう。各社が売り出したもののようでした。
買ったことはないから味は分かりません。
だからひとつだけしか買ってこない。「どうしてもっと買わない。」
翌日に行ってみたら完売してた。そんなことだってよくあります(泣)。
あんまり価格差があったりすると「ナンピン」もします。
同じものを買い増して購入単価を下げるのです。
ただ、こういう「ナンピン買い下がり」ってのは多く買わないとあまり効かない。w
一度、そういうことをやり過ぎて、白醤油がストアに五本も六本もあるということになった。
全部使い切るのに三年以上かかったw。
よほどでないとそんなアタシたちが精神的ダメージを受けることはないはずです。
いったい何があったというのか。
・・・家内はスーパーで栗のパックが箱入りで積まれているのを見つけたと言います。
店先に目立つようにして積んであり、「衝撃の激安価格」なんて書いてあったそうです。
箱に詰められてて、サランラップでカバーをして箱の中味が見えるようにしてあったそうです。
中のひとつの栗のパックは少し小さ目。78円とあります。
すでに箱は残り少なくなっています。ちょっと前はもっとあった感じ。
ウチが正月用に買った栗のパックは百均で買ったものでした。
栗きんとんをアタシが作ったw。
そうすると一個が78円なら「激安」っていうほどではないと家内は思った。
それで箱にまとめられた十個の栗のパック。残りも少なくなっているわけです。
これ、十個入りの箱ひとつで78円と思ったそうです。
レジに持っていくと女の子がひとつずつ箱の中のパックを数えて確認を始めた。
家内は不審に思って聞きました。
「ひと箱全部で78円じゃないんですか?」
「あっ、どこにありましたぁ?」なんて聞かれたから店先まで連れて行った。
「ああ。ホントだ。」
彼女もその陳列の感じを見てひと箱で78円かと思ったらしい。
で、店員に確認します。
「でも、アタシずっとひとつずつ打っちゃってたんですヨ。」
えらいことだ。78円のものを十倍で売ってた。まあ店は儲かるけどw。
その子と話してたら店員がスッ飛んできた。
心なしか青ざめた様子で、走りながら首を振って両手でバツを作りましたwww。
ホッとしたのはレジの女の子。
ひとつずつレジ打ちしてて間違ってなかった。ひとつ78円だった。
家内の方はショック。
空振りどころかとんでもない乞食ぶりを晒してしまいダメージを受けた、と。
「じ、じゃあいいです。」
まあ、その場にアタシがいたわけではありませんから、どんなだったかは正確には分かりかねますが、家内はちょっとした騒ぎを起こしてしまった。
十分の一の値段で買おうと箱ごとレジに持っていったのです。
「ダメージを受けた。」www(笑)。
それにしても、百均で買ったものより少し小さいのです。
それで値段は78円。
あんなもの買ってった人がそんなにいたのか、と、家内は訝ったものです。
「栗好きはいるものかも知れないヨ。」アタシは言った。
「それにしたって、あんな値段で・・・。」
あっ、そしたらアタシは思いついた。
そういえば、ここら一帯はその昔は栗林だったのです。
栗林って言ったって自然の林です。
自然のものなら栗の木はとても大きい。背が高い。
わざわざ栗を栽培しているから採りやすいように低く仕立ててあるというだけです。
「大きな栗の木の下で」なんて歌があるぐらいです。
昔はそんな土地だった。
その後、一帯にはアンズが繁殖しました。それも分かっています。
季節が来るとアタシたちもその名残りのアンズの実を少しいただいています。
もうすっかり一帯は都市化され、もはや見る影はありませんが、ずっと昔は栗林だったのです。
その頃、所有権も不確定な栗の木を土地の人たちがこぞって採集したに違いありません。
栗ばかり食べていた人たちの子孫がいる。
コトの真相は、そんな栗を食べてきた栗好きの遺伝子が地域に受け継がれていたということでしょう。
だから店もそれを知っていて売れると踏んだ。
大して安くなくても栗好きにはきっと激安だ、と。
「大きな栗の木の下で、仲良く遊びましょう」、そうして育ち、子供を作り、繁殖してきた一族、人々がいるのです。
手に入れた土地で耕作をし、農業を受け継いできた。
それが都市化で土地をリートに貸し出し、今や彼らは都市部の大地主です。
そんなのがゲーセンにもいるんだw。
色々と思い当たるフシがある人がいるのですw。
貯メダルが25万枚もあるのになぜか現金でメダルを買っている。ほぼ毎日来ている。
他の客が滅多なことをしないように監視しているようにも見えるw。そこのリートの大家なのです。
栗には目がない地域の人たちがこぞって買っていった。
品物は中国製だったんでしょうけどw。
そんなのがダメージでどうするのサ。
アタシは思いました。
以前、どでかい海鮮チラシ寿司、定価3980円がカキカキでサインペンの字は200円に読めると、レジに堂々と持っていったアタシなのです(笑)。
賢いバイトの男の子はまさかと思って店員に確認した。
2000円の見間違いだった。
字はキレイに書きませうww
その後、心なしかそこはカキカキの字が慎重になっているような気がしたものです(笑)。
アタシたちのような油断ならない連中がいるのです。
たいして安くもない栗を買ってくれる人ばかりでもありません。
誤発注なんて一番注意すべきことw。
小規模のスーパーだと面白いことがあります。
大資本にはできないフットワークがあります。
市場への出入り許可証を持っていて、賞味期限間近のものなんかを安く買い叩いてくる。
そしてバラにして店頭で売る。
そうして同じ理屈でコストコから仕入れてやっているんでしょうが、そこはどこかアタシは引っかかっちゃうんだけどw。
その日、老夫婦が話しているのを小耳に挟みました。
バアさんがジイさんに声をかけていた。
「今日は何もないね。」
「震災直後でもあるまいし、スーパーに何もないなんてことがあるのか。」、そう思う人はアタシたちとは違うw。
安くなったものしか買わない人々は獲物を探しに買い物に来ているのです。
だから収穫がない時もあります。
安いものがない時は「ない」ということになりますw。
アタシはこの老夫婦の会話に共感できるw。
毎日、狩りをするように買い物に出かけます。
アタシは腰の痛みを誤魔化してヨイチョと歩く。
とにかく出かけないと気が済まないw。
空腹で荒野を歩き回って食糧を探した太古の記憶が蘇ってくる。
太古の昔からアタシたちは変わってない。
狩猟して生き延びてきた遺伝子です。
買い物にもその遺伝子が反映されています。
さしずめ今回は魚を罠にかけた時か。大漁だと思ったら流木だったガッカリ。w
太古の記憶を呼び覚まして精神的にダメージを受けた、とかw。
「栗好き」ってことさえ遺伝子に刷り込まれているのです。
「お得な狩りが好き」って遺伝子の記憶もきっとあることでしょう。
おそまつ
