鳩サブレー狂時代きたるw
鳩サブレーのブームと言えるようなもの、それがどうやら家内の実家にきてしまったようなのでした。
それは家内の母親のこと。
ガンになってすっかり弱気になって、彼女は家内を実家に呼び寄せました。
実はガン細胞は薬が効いて猛烈に小さくなっているんだとか。
「遺伝子薬」というものだそうで、ガン細胞の遺伝子を標的にする治療薬です。
なんだかもっと長生きしそう(笑)。
聞けば毎日が心細い、欝だ、家内に来て欲しいということ。
もはや彼女の旦那さん、家内の父親は先年に亡くなっています。
それもあって心細いのでしょう。
しかしなかなかこちらから行くのは大変です。
そんな事情を知ってか、だったらと、家内を「雇う!」なーんて話もあったらしいwww。
親戚一同は呆れ果てたw。
まあ家内はそこまでならとお見舞いに行ったわけですけど(笑)。
実家には親戚や近所の人たちがしょっちゅう励ましにやって来てくれます。
お見舞いにと、親戚や近所の人が色んなお菓子やら何やら持ってきてくれるとか。
だったらと、家内に帰ってきてくれと頼んだついで、その帰省のついでにこちらの地元のもの、首都圏のものを何か土産に持ってきてくれという話になったわけです。
周りの人たち、気遣ってくれる人たちへの土産になるのだと。
はあ。そうでしょうなw。
しかし、それじゃあ、なんて探してみても、こちらだけでしか手に入らないものなんか今どきそうはありません。
たいていは全国区。情報化社会、ネット通販全盛です。
そしたらどうやら鳩サブレーは割とまだ実家のあたりでは全国区じゃないと分かった。
そんならそれを送りましょうとやったわけでした。
隣家からいただいた柿も持たせた。
これぞ地元のものじゃないかとアタシは思ったのですが後日談、「二郎柿はどこも一緒だな」なんて言われてしまったそうでw(汗)。
そしたら、差しあげたみなさん、鳩サブレーにとても喜んでいたというのです。
家内の母親もそんな周囲の反応に満足したようでした。
すっかり納得してしまった。
鳩サブレーは美味しいのだ、と。
よし、それなら次もまた鳩サブレーを送ってくれ、と。相成ったようで(笑)。
それが実家のまさに「鳩サブレー狂ブーム」というわけ。
こちらに帰ってきた家内にまた母親から連絡がきて、また鳩サブレーを送ってくれ、そんなことになっています。
・・・どういうことか。
まさか本当に鳩サブレーの味がみなさんに好評だったとか。
そんなわけがありません。アレはただのサブレーです。クッキーです。
正直、大した味ではありません。
クリームがあるわけでもなし、なーんにも入ってない。
昭和の、まさに昭和の菓子です。
それに近所や親戚がすっかり魅了されてしまった、とでも言うのでしょうか。
ないない(笑)。あるわけがないww。
いや、いや、お母さん、それは違うんじゃないでしょうか。アタシは思う。
だって、あなただってそうだったはずなのです。
あなたが以前、「鳩サブレーを送ってくれ」と、ウチに言っているというので親戚たちはバカにしたものです。なんでそんなもの、ってw。
で、それなら袋入りの鳩サブレーをひとつくらい送ってやってくれ、それで良い、なんて親戚たちは言ってたものです。
しかしこの時アタシはピンときた。
彼女はきっとあの缶が欲しいのです。
だからアタシは気を利かした。
そして一番大きな缶のものを選んで送ってあげた。
そんな必要ないなんて言われたけど、アタシが強く主張して送ってあげた。
それでたいそう喜んでくれたのです。
「こんな大きなものを、嬉しいなあ」
そのお言葉、もはや鳩サブレー本体のことじゃないのは明白じゃありませんかw。
大きな缶だろうが小さな缶だろうが鳩サブレーは鳩サブレーです。
同じものが入ってる。
もう語るに落ちるというに相応しいw。
大きいのは缶ですw。
缶がもらえたからよかったんでしょうに。
しかし何も恥じることはありません。
みんなそうなのです。みんな同じ。
誰だって同じことを考える。
だから、鳩サブレーをもらった人はその缶の魅力を思い出し、お世辞でも「鳩サブレーは美味しいネ」なんて言ってしまうのです。
もしかしたら、どこかに、缶がもらえるかも知れないという気持ちだってあるはずです。
だって、義母はもう十分にその黄色い缶を持ってるんだから。
もういいでしょう!
って(笑)。
彼らが鳩サブレーを褒めるのは、やはりその缶の素晴らしさにあるのです。
鳩サブレーを買ったら缶がついてきます。袋入りでも缶入りでも値段は同じ。
缶は料金に入ってない。たくさん入った鳩サブレーは大きな缶です。
それは色んなことに使えます。
手紙や旅行のパンフレット、記念のシオリ、何でもひとつの缶にしまっておける。
思い出の品、ちょっとしたキーホルダー、記念品、ワッペン。色んなものがひとつの缶に入り、そしていつでも広げて見れる。
畳にぶちまけてあれこれ眺めても、また缶に収納すれば簡単に片付きます。
こういうのは最近の「終活」ということにも通じるかも知れません。
可愛らしい缶にまとめて収納する喜び、その始末をつけられたとする喜びです。
色んなものが整理できて冥土の土産になった感じがするというわけw。
主役はクッキーじゃない。その黄色の缶なのです。
その魅力。
だからついみんなが鳩サブレーを褒めてしまう。アタシにはわかる。
だから、ビニールの手提げに入った鳩サブレーがいくらきたって周囲も喜ばないはずなのです。
それは、まるでネタバレしてしまわないよう建前だけでコトが進んでしまうようなもの。
みなさん暗に鳩サブレーの缶を褒めているのです。
わかりませんか?
義母さん、あなたが喜んだ理由はあなただけのものではない。みーんな同じことを考えているw。
ご自分に鳩サブレーが欲しい別な理由があったとしても、なかなか告解はできません。
子供じゃあるまいし、と、ちょっと恥ずかしいのかも知れません。
「中身よりも缶が欲しかった」なーんてなかなか言えるものではない。
仮面ライダースナックか!!
そこは大人ですからwww。
で、ご自分は白状はなさらない、すると、周りも同じだということになぜか気が回らなくなってゆきます。
あなたがそうだということは他人もまた同じなのです!
これ、錯覚。
いつの間にか「他の人たちは鳩サブレーの味に喜んでいる」なーんて思い込んでしまうのです。
こういう心理学的には転写みたいなこと、あるある。
まさに中身よりも缶の方がが欲しい、嬉しい想いのみんなの照れ隠し。
こうして、アタシは鳩サブレー配送所になりかけている我が家で思ったものでした。
もうさ、ウチでクッキーでも焼いて、マジックで書いてビニールに入れ、何かの缶を送ったらいいんじゃないか?
ってw。
「はとさぶれぇ」
って書いて送ってあげるwww(笑)。
・・・ま、まあ実際にやったら、嫌われるだろうなぁ・・・www(笑)
おそまつ
