冬はおでん、お好きなものを召し上がれ
家内が帰ってきてまた二人の暮らしになりました。
馬鹿笑いしたのは一ヶ月ぶりです(笑)。
よく笑わせてくれます。
留守中、アタシがパンを焼いていたと言ったら家内は詰まらなさそうな顔をした。
ご自分だけが焼けるはずだと思っていたのか。
だから「説明書を読んだんだ」、なんて言ってあげた。
係りの人から仕事を奪ってはいけませんw。
家内は佐渡ヶ島の「岩モズク」を使った佃煮を土産に持って帰ってくれました。
ご飯に合うのは言うまでもありません。
モズクの歯ごたえある食感が普通の海苔の佃煮とは違うところです。
さりげない美食だと思う。
あまり舌の肥えてないアタシにはもったいない気がした。
こちらはと、とっておいた「ハヤトウリ」の糠漬けを出してあげた。
糠漬けは冬は発酵が遅いから日持ちしたのです。
やはり食べたことはなかったそうだ。
美味しいよ、美味しいね。
味噌汁、豆腐、小さな鰤照り。
おおかた実家で美味いものばかり食べていたろうと粗食。
いや、鰤なんかあったらそうでもないかw。
買い物に出掛けたら大根が安かった。
冬は大根が安くなる。
タクアンにしたらまたご飯の友が増えてしまう。
まだ大根を糠漬けにしたことはなかったけれど、どうかな。
「糠漬けは夏のものだから冷凍して眠らせたっていい」なんて言った。
冬眠か(笑)。
広い銀河を旅するにはどのくらい眠っていればいいのだろう。
大根が大きいのでおでんにすることにしました。
「卵おでん!」
それも悪くない。買ったばかりの大根をたっぷり食べられるというわけです。
もしかすると他のおでん種も買えるかもしれない。
何件か回ってみたけど、おでん種は安くなってなかった。
どこも調子よく売れていたようでした。
こんな寒さを感じる頃だからどの家も考えることは同じなんでしょう。
牛肉、卵、大根のおでんにした。コンニャクはいいのを奮発した。
家内が大根を寸胴切りにして桂剥きにし始めます。
大根の皮を剥くのはおでんの時ならではのこと。
輪の真ん中に十字で切り込みを入れてくれる。
下茹でしてから薄めのダシ汁でシューする。
一度軽く茹でてからお湯を捨て、ダシの入った水から茹でるのです。
圧力で大根がホロホロになりダシの味もよく滲みてくれます。
熱燗でもやりたくなる温かな料理です。
和からしの粉を瓶から出してお湯で練った。
おでんときたら和からしでしょう。
ツンツンさせながら食べるのです。
できれば和からしは割り箸で練って皿になすりつけたい。
まあそこは我慢しよう。本格的になり過ぎてもいけません。
しかし、なんだか練っててもからしの色が浅黒くて様子がおかしいのに気が付いた。
味見してみたら猛烈にしょっぱいのだ。どうも変だ。
辛さも感じない。
これは痛んでいると思って袋から新しいのを取り出した。
からしの粉を瓶に詰めていたのが一年近く、きっと酸化して変質してしまったんでしょう。
おでんの季節が巡るまでが長すぎた。
「好きなものを取ってください。」
出来上がると家内がそんな声をかけてくれた。
おでんにはピッタリの言葉だと思った。
「好きなものを選んで取る」まさしくその雰囲気がおでんなのです。
これが店なら「何にしますか」と聞かれるもの。
そうすると客はおでん種の名前を知らないといけません。ご指名には名前が必要です。
「それ」だの「あれ」だのは子供じみている。
だから店なら分からないとちゃんと尋ねるもの。
「これは何ですか」聞いてからその名前を言って、店の人に取ってもらう。
そうして通い詰め、客はおでんの多様な種と親しくなってゆく。
今度来たらカニ面を食べてみよう、なんて客は思う。
おでん屋さんは商売上手なのですw。
二人ともそれぞれキッチンに行って鍋からおでん種を皿に取ります。
汁も少し入れる。
アタシは卵と大根、牛肉、コンニャクを取った。シイタケも入ってた。
そう言えばついこの前に「孤独のグルメ」を一人で見たのでした。
「カニ面」はおでん種のひとつだ。五郎はからしをつけたっけか。
家内は青唐辛子味噌という瓶を出しておでんにつけ始めました。
それも土産にと買ってみたものらしい。
久世商店のもの。
「サンクゼール」というこの会社は近々IPOするらしい。
アタシの自家製と較べたらまるで辛くなかった。
「味噌おでん」というのもあるからおかしくはないけど。
「ご飯に乗せて食べるには辛い」
家内はそんなことを言ったが違和感があった。
昔はカレー屋の一番辛いのだって平気だなんて大威張りだったのに。
そしたらアタシは唐辛子のことを思い出してしまいガツンと辛いのを食べたくなった。
からしとはまた違う辛さだ。
アタシは自分の作ったハバネロ・ピクルスをひとつ食べてみた。
辛い。
ドキりとするほど強烈だ。
脳髄に辛さが゛届くと意識のどこかが飛んだ。
時間が経つとキリキリと胃が痛んだ。クチにしたのすら後悔し始める。
これで「腸ねん転かも知れない」なんて言ったんだっけ。
よほどひどかったら「ブスコバン」がいい。
どの家でも一度は思いつくのが「おでん鍋」を持つことでしょう。
銅の立派なものをリサイクル屋で見かけたりします。
大きくて仕切りがちゃんとついていて、店と同じようなおでん鍋です。
買ってはみても季節が限られるし邪魔になってしまうのでしょう。よく見るものです。
だからと言って小さなサイズでは詰まらない。
選ぶ感じがなくなってしまいます。
おでんは煮物とは違う、おでん種のひとつひとつが自己主張していないといけません。
そうしたらどうしたってサイズが必要になるのです。
そしたら、オフシーズンには靴下やパンツなんかを入れてタンスに収納しておけばいい、そんなことをアタシは思うんだけど。
冬になったら出せばいい。
それまで鍋も冬眠です。
いや、ウチはよそ様にお任せしますが(笑)。
街はそろそろクリスマス。告白の用意をw。
正月の支度も売られ始める頃でしょう。
めいしくおしあがれ
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