深夜にラーメン屋さんへ行ったこと
ウチの庭の棕櫚を切ってくれた人は前に近所でラーメン屋をやっていたことがあって、アタシと家内は一度だけ行ったことがありました。
近所の画廊で家内が個展をやった時、備品回りの世話していたそうで、それで知っていたそうです。
もうその時はラーメン屋はやってなかったのでしょう。
軽い人だった覚えがありますw。
もうその時はラーメン屋はやめてしまっていたのでしたが、棕櫚を切ってもらって思い出した。
当時、ちょっとしたことがあった振り返りのこと。
それはバブルも真っ盛りのとある深夜のことでした。
家内とアタシは突然、夜中にラーメンを食いたくなった。
腹が減ったとか家に何もなかったとか、そういうのでもなかった。
もちろん当時だってコンビニはありました。
ただ、なんとなく外へ出かけてラーメンを食べる、そんなことをしたくなったのです。
季節はちょうど秋口、まだ凍えるほどでもない頃でした。
振り返ればあの頃は「夜鳴きそば」とか「焼き芋売り」とか、色んな音が夜の住宅街のどこかから聞こえていたものです。
今はすぐクレームなどが入ってもはや風前の灯でしょう。夜に音が聞こえるなんてほとんどない。
除夜の鐘すらクレームして潰そうとするのがいる。
文化破壊しているのがいるのです。
そのくせ、ハロウィンで意味もなく群れようとしたり、なんだか奇怪な風体のコスプレをして「よさこい踊り」なんてのを白々しく広めようとするのがいる。
そういう侵略は進んでいるのですw。吊り目で茶髪の。
深夜にラーメン屋で食うなんて楽しそうだ、なんて、それは変な思いつきでした。
わざわざ夜にアパートから出て、ラーメンを食べに出かけるのです。
非日常的な楽しみだったかも知れません。
アタシたちは夜でも営業しているのを見かけたことのある近所のラーメン屋に行ったのです。
そのラーメン屋はいつも深夜までやっていたから開いているのは分かってた。
アタシと家内の二人はまるで夜祭りにでかけるように歩いた。
バブルの頃はそんな風にみんなが宵っ張りでしたw。
入るのは初めてでした。
店に入ると、深夜のテレビがかかっていて、オジさんがひとりで調理場にいた。
よくある赤いカウンターのラーメン屋です。そして小さな貧相な二人がけのテーブル席がふたつ。
狭い店内ながら学生が二人いて意外と客がいた。
夜食をとりに来たのか、バイト帰りのいつものことなのか、彼らはマンガを読みながら静かに食べていた。
バブルの頃というのはそうやって何かにつけて夜遊びをしたものですw。
なんだか無性にソワソワとして夜中に外へと出歩きたくなった。
浮ついた時代でした。
幸福感があった。
外には何かある、そんな予感で満ちていたものです。
それは大きな繁華街でなくとも、小さな住宅街でもそんな何かの期待のようなものがあったのです。
今ならまあ、よしといた方がいいでしょう。
夜中になんて出歩くもんじゃありませんw。
外国人はウロついてるわ、コロナだわ、自動車は突っ込んでくる(笑)。
この最近の歩道事情というのがまた利己的も極まっている。
最近はみんな車道の側を歩きたくないもんだから端ばかり歩いて、いちいち道を譲ってやらないといけません。
自分大事とばかりにみんな露骨にそんな顔をしている。こっちは脚が痛えw。
アタシも負けじと譲らない時もある。
まあマスクしてませんから向こうから逃げるんだけどw。
最近も自動車が歩道に突っ込んだニュースがありました。
それだからか、自転車すら車道側でないところを走ってこちらに向かってくる。そしてなんだかどいつもこいつも直前になってから避ける。
アタシはタンメンを注文した。
最近のラーメン慣れした人だと「タンタン麺」と間違える人もいるかも知れませんw。
タンメンというのは野菜のたっぷり入った塩系スープのラーメンのことです。
昔からタンメンはたいていどこのラーメン屋でも一番コスパのよい商品でした。
家内もつられて同じものを注文した。
昔は外に深夜に出かける人、寝間着姿のままで近所の飲み屋に行く人さえいたものです。
今なら絶対にやらないでしょうが、そういうのをしてみたい、なーんて思ったのです。
我々はさすがに寝間着姿ではなかったけど(笑)。
そうして出されたラーメンを食っていると、すぐにアタシのラーメンに虫が入ってるのが見えた。
小さいヤツですがガメラでしたwww。
ええ、こんなの食えないよ、なんて、アタシはそこで食べるのを止めてしまった。
向かいでは家内が美味しそうにラーメンを食っています。
だから気がつかれることのないようにさりげなくアタシは食べるのを止めた。箸は持ったまま。
深夜テレビの音が耳に入ってきた。
アタシは虫のことはずっと黙ってた。テレビが気になってしまうようなフリをしていた。
狭い席ですから気がつくこともなかったのかも知れません。
「食べないの?」なんて家内は箸をちょっと止めて聞いてきた。
「あ? ああ、いいから食べな。www」
アタシも大人だった。そんなことが言えたw。
家内も子供のように無邪気なものでした。まあ今でもそういうところがあるけど(笑)。
家内は食べ終えると深夜テレビを見ています。
店主を呼んで、アタシはそっと虫のことを店主に言ったものです。
アタシが深夜テレビを見入ってラーメンどころじゃない感じだったから、家内は見てみたのでしょう。
「これww。」
「あ、ああ。スイマセン。」
まあ、しょうがない。
アタシは深夜にラーメン屋に行くというのを味わいたかっただけです。
ちょっと二人でプカリンをしてから帰ります。
促して家内を先に店の外へ出した。
家内の分を会計しようとしたらオヤジは二人分、全額請求してきた。
「ええっ、取るの?」
「あっ。じゃあ、いいです。」
じゃあ、ってww。
なんだか細かいことはあまり気にしない人なんだなぁとアタシは思ったw。
このことは家内も気がつかず、アタシはただタンメンを残しただけだと思ってたらしい。
ずっと後になって、酒のツマミの想い出話にと、あの時はガメラが入ってたんだよ、なんてアタシはやっと話したものです。
それで初めて家内は知った。
あの時のことを思い出した(笑)。
アタシはちょっと食べたら止めてしまったんだけど、なぜか不思議に思いつつも深くは考えなかったらしい。
天然ぽい人だw。
家内もあまり細かいことは気にしない人なのです。
普通は気にするもんだけどw。
まあそれも若さの秘訣かも知れませんww(笑)。
おそまつ
