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居場所に落ち着きを求めて


大きなスーパーに入ってみた。

 サッカーか何かアメフトだったか、街の方で大きなイベントがやっていて客は誰もいない。
 街では騒ぎも起きていたのか少し不穏な雰囲気だった記憶がある。
 遠くサイレンと喧騒がいくつも重なってこだましていた。
 夜は更けていた。

 一人でスーパーの広い店内を見て回った。
 そこだけ平穏な場所に私には思えた。

 過ごしやすい店内だった。室温もちょうどよかった。
 あの時は外は少し暑かったのかも知れない。
 客の姿は見えなかった。

 レジの店員はこちらをまるで気にしない。
 私が入った時から見ようともしなかった。
 カバンなど持ってなかったから万引きも警戒されなかったのだろう。

 人がいないスーパーでは音楽すらかかっていない。
 静かだ。
 だだっ広いホームセンターのような広々としたスーパーだった。




 店内には音がない。
 とても静かで落ち着けた。
 日本の店のように逃げ出したくなるような妙な曲も店内アナウンスのリフレインもない。

 通路は店の外に向かって平行に整然と並んでいる。
 それぞれの棚は満杯だ。
 日中はカートにいっぱい詰め込んだ客が行き来していたのだろう。


 ふと、どこかでパタリと音がした気がした。
 私は通り過ぎた通路に引き返して様子を窺ってみた。


 すると、商品棚を挟んだ通路の真ん中に何かの箱が落ちていた。
 
 行ってみるとコーンフレークのような箱。
 カラフルな箱だった。
 私は拾ってやり、そばの同じ棚に商品を戻してやった。




 外国のスーパーは面白い。
 食品も工具も何でも扱う。
 私は通路ごとに分類整理されている商品をブラブラと見て回った。

 興味本位だ。探すものなどありはしなかった。
 人のいない店内で私を迎えてくれる商品の棚。
 日本では入手できないものがたくさんあった。

 私は通路から通路へと棚に並んでいるものを眺めて歩いた。


 また。
 今度は少し離れていたから小さな音が聞こえた。

 誰か私以外にいるのか。
 正面のレジでは髪をピンク色に染めた若い女の子が座っていた。
 ヘッドホンをして雑誌を読み耽っているのが見える。
 店内の静けさは変わらない。

 いぶかった私はその音の方にまた戻ってみた。

 またさっきの通路だった。その真ん中あたりにまた箱が落ちていた。
 さっきのコーンフレークの箱だった。



 私の置き方が悪かったのだろう。
 今度は落ちないように気をつけて戻した。

 箱の中身がコロっと動いた。

 
 庭の剪定道具、トリミングマシン、釘打ち器、バッテリー式チェーンソー。
 ホームセンターは面白い。
 なんでもある。

 私は背丈ぐらいのステンの棒を買うことにした。硬くて重さもちょうどよい。
 棒は真っ直ぐなのだがステンレスに木のような装飾が施されていて、少しデコボコしている。色も茶色でまるで枝のようだ。面白い。

 私はこれを回して遊ぼうと思った。一人遊びの手慰みだ。
 帰り道のちょっとした護身用にもなる。これにしよう。

 レジに向かう途中、さっきの通路を横切った。

 すると、さっきのように通路の真ん中にポツんと箱が落ちていた。
 私はまたその箱を拾いに行った。




 手にとって見ると、商品の棚はどうやら違っていたようだ。
 そこは子供用のタイルが箱入りで売られているコーナーだった。
 カラフルなプラスチック製で、動物の絵がかかれたタイルが入っている。
 箱はまるでお菓子と同じような感じで見間違う。

 棚は食品の棚ではなかった。

 シリアルの棚がすぐ裏側にあった。
 先の列は食品の棚が続いている。
 そこが食品コーナーの端っこだ。

 通路を探すと同じコーンフレークの棚を見つけた。
 私はそこに箱を戻してやった。
 私はレジへ向かった。



 「ありがとうございました。」

 ピンクの髪をした子は私を見もしないで礼を言った。目は雑誌に落としたまま相変わらずヘッドホンをしたままだ。

 いつになくレジの子が挨拶を返してしてきたのが私には意外なことに思えた。

 こんな西側のスーパーでは店員は挨拶など返さない。
 ましてや夜に外国人だ。
 彼らは黙って商品を受け取り、チップにならない釣りを返すだけだ。

 私はあの箱が彼女に礼を言わせたような気がした。




 あのコーンフレークの箱は置かれた場所が違ってしまい、困惑していたのかも知れないと私は思った。

 何も植物だけでもない。
 物体ですら存在のための居場所を求める。
 自分の落ち着ける場所、必要とされる場所を。


 別に礼は及ばない。

 出口のドアのところで私はふと振り返った。
 そして箱のあった通路のあたりを見て私は少し大きな声で言った。

 「どういたしまして。」
 
 ピンク頭の店員には私の声は聞こえなかったのか、彼女は顔を上げようともしなかった。


おそまつ





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