目の移植手術の優先度を空想する
若い方が優先なのか。
歳取った方を優先させるべきか。
トリアージ的な問題かも知れません。
こんな記事がありました。
例えば若い方は25才、生まれついてから光を見たことがない人がいます。
もう一方、歳を取った方はもう50を超えている。最近、突然に光を失った。
移植の順番待ちは両者が同時。
なぜか同時です。
ともかく、どちらに移植するか選択する必要があります。
どちらに優先して移植すべきか。
年齢が若い方はもう盲人の暮らしに慣れてはいます。
これに対し、歳取ってから失明した人が慣れるには相当の苦難を要するでしょう。
しかし若い方はまだ人生がある。先がある。
光を取り戻したら、その後、暮らす時間はたくさんあります。
歳を取った方はもう先が見えている。見えてはいないけどw。
倍近い歳の差です。
年寄りに目の移植をして、それからどれだけ人生の果実が得られるというのでしょう。
アタシはそんなことを考えることがあります。
アタシはそれなりに欝っぽい人間だからw(笑)。
年が若ければ目が見えるようになり人生に道が開けることもあります。そうして我々の社会に貢献することができる。
歳を取ってしまえばもう先はありません。しかしこれまでの貢献に報いるべきではないのか。
歳を取っているからこそ、残された限りある人生を光とともに生きる必要性は強い。
それに若ければまだ次がある。また順番を待てる。
年寄りには順番は待てない。
しかし若者はすぐにでも動き出せる。生まれてからずっと長く順番を待っていたのです。その重みはある。
どうか。
アタシならどうするだろう。
自分で考えることです。「正解」などもちろんありません。
誰にでも重要な選択を迫られることがあります。
その時のためにアタシは用意をしておきたい。
大学時代のこと、盲人の学生が同じ学部にいました。
女の子。
友人と言ってよいのか、それはアタシには分かりませんw。
女子たちは面倒を見てあげていたようでしたが、彼女は独立心が強いのか、杖を使って一人であちこちをよく歩いてた。
アタシとは何の縁があったか、しょっちゅう学内のあちこちで鉢合わせをしてアタシは挨拶をした。
すぐに彼女は声でアタシを判別するようになった。
いわば「顔見知り」というわけですw。
アタシは介助を申し出て、その手を取って「ついでだから」と一緒によく同じ講義室に向かったものでした。
「女性と手をつなげる機会ってのは、アタシにはなかなかないからw」なんて不器用に照れ隠ししてww。
その彼女も気が利いていた。
「いえ、お代はいただきませんヨ」なんてww。
可愛らしい子でした。よく想い出す女の子です。
彼女は歯がキレイでした。
盲人はよく歯を折ってしまいます。やみくもに歩くと危ない。
転んだりぶつければどうしたってそういうことになります。
だからまだ歯がキレイなのは賢い子の証拠だろうとアタシは思った。
ある日、よくある偶然でその子と学バスで会った。
すると足元にラブラドールがいた。彼女は盲導犬を得たのでした。
犬は訓練をしないといけません。だからなかなか盲導犬は順番待ちが大変です。
ラッキーなことに彼女は盲導犬を持つことができたのです。
バスに乗り込んだアタシは彼女に挨拶をして「おめでとう」と言ってあげた。
盲導犬が珍しいのか学バスに乗り合わせた他の連中は犬を撫でようとする。
アタシは手で制し、「ダメ」なんて首を振った。妙なオトコが出てきたからと、みんな向こうを向いた。
盲導犬にちょっかい出してはいけません。彼らは道具でありパートナーなのです。
アタシは黙ってジェスチャーしたのでしたが彼女は空気で分かったのか、ちょっと笑っていた。会釈をして礼をしたように見えた。
そして彼女はアタシの「おめでとう」の意味がすぐ分かったのでしょう、「ツイてただけ(笑)」なんて彼女は言った。
アタシは「ツキがあれば生きるのも楽しい」なーんて返したけど、ちょっと欝になっちゃった。
ふうw。アタシにツキはあるんだろうか、なんてw。
そしたら彼女、「でもこの子はアタシよりも先に逝くのよ」なんて言った。
そのよく遭う彼女にアタシが言いたくて一度も言えなかったことがあります。
それは「歯を大事にしろよ、歯は大事だ。」ってことだった。
それから十数年、異国の地でアタシは別な女性に同じことを言った。
キレイな歯をした美しい女性でした。
なにしろアタシの前歯は六本が義歯です。
生まれついて持っている歯の貴重さというのがよく分かる。
それは人生ほど貴重ではないというのは分かるけど。
おそまつ
いくつも同じ曲を聞いたけど、プロの演奏よりもこれが一番良い。
指揮者がよかったんだろうと思う。
※ 後日談。
ってこともないけど(笑)。
この頃、アタシは杖をついていた時があった。
膝をひねってちょっと痛かった。
最近やった膝の痛みはやっとよくなってきた。
登山用のステッキを使ってた。
交差点で信号待ちをしていたらオバさんが手を貸してくれる。
「向こうまで渡るのよね」なんて。
アタシは「は、はあ。」なんて言って、盲人のフリをしなきゃいけなかった。
アタシはサングラスしてたんだ!www(笑)。
なんの因果かと思った。目は大事。
