国広富之、テレビドラマ「極楽への招待」
これは「知る人ぞ知る」というぐらいの忘れられたテレビドラマではないでしょうか。
アタシは以前、テレビドラマの話題をした時、このドラマのことを思い出しました。
ドラマの名は「極楽への招待」というのものです。放送はNHKでした。
このドラマについての情報はまるで闇ですw。ネットでも殆ど情報がありません。
もちろんDVDレンタルもありません。
あまり知られてない隠れた名作だと思っています。
そのストーリーの概要すらネットに見当たりません。
なにしろ主役だった国広富之氏のウィキにも載ってないぐらいですwww(笑)。
世間から忘れ去られたNHKドラマではないでしょうか。
放送はまさにバブル絶頂期、ズバリのタイミングでのテレビドラマでした。
ドラマの背景は地上げやマルチ商法。
そこにペテン師と老婆との人間模様を織り込んで描いたものでした。
国広富之と老婆との交友、その愛情、期待と裏切りの物語です。
老婆は寂しい一人暮らし。
そこに国広が扮するセールスマンがやってきます。
老婆は国広がいかがわしいペテン師、インチキセールスであることを薄々知りながら彼に失くした息子の姿をかぶせ、つきあってゆく。
国広の方は老婆をいいカモと思いつつ老婆の気持ちに心をほぐされてゆく。
そのギリギリ感。
名演出だったと思います。
まさに当時の世はバブルと地上げが全盛でした。
人々は土地に狂い、あぶく銭に熱狂したものです。
我々はゴールドラッシュに酔ったのでした。
タワマン、メガバン、年金、非正規雇用、その後遺症は今でも続いています。
そうして、このドラマは、最期は国広富之がまたインチキ業へと戻ってゆくところで終わります。
犬や猫でもあるまいに老婆は青年を手元に置きたがった。
若者に子供のことをダブらせて期待ばかりが先走り、あっけなくそれは消えてしまう。
「期待」。 さもありなん。
あれはなんてドラマだったのかと改めて驚嘆せざるを得ない。
まるでバブル崩壊と現在まで続く絶望感、今の空虚さを予言したようなドラマだったと思います。
期待は裏切られるもの。
人はそれを知りながらつい夢を見てしまう。そして期待はシャボン玉のように弾けて消える。
分かっていながら、止めることが誰にもできない。
そして、人間の業というのはなかなか変えることはできないのです。
老婆役をしていたのは北林 谷榮という人でした。
日本のおばあちゃん役の一人、老け役で有名な人でした。
「日本のお母さん」が森光子だったら、「日本のおばあちゃん」は間違いなくこの人だったでしょう。
あるいは浦辺粂子(うらべともこ)とかwww。
・・・こういう脇を固める役者さんというのは面白いものです。
彼らには節度があり、脚本をよほど読み込んでいるからこそできるものがある。
この人、晩年の何かのインタビューで、役者に転向した「いかりや長介」を「あの人が今一番セクシーだ」なんて言ってたものです。
老齢でありながらそれはもう実に艶っぽくおっしゃっていたものですww。
「いかりや長介」はこの時、湾岸警察署で采配を取る老刑事でした。役者をやっていた。それでおっしゃった言葉でしょう。
彼のカッコよさというのは晩年になってやっと花開いたものです。
若い頃はドリフターズのリーダーとして小馬鹿にされる役回り。「唇オバケ」なんてキャラを立たせていた。
コントというのは一種のお芝居ですから、「役者」というのをやりたくなる気持ちは分からないではありません。
荒井注、坂上二郎らはそういう道を選び、コメディアンとしての人気絶頂期の早くから転向したものでした。
クレイジーキャッツの犬塚弘も上手に役者をやっています。
ともかく、これはアタシには強烈なドラマだった記憶があります。
NHKでやってて最初から見入った。
アタシと家内は真剣になって見たものです。それこそ正座するようにしてw。
珍しく欠かさず見た振り返りのこと。あの頃はアタシもまだテレビを捨ててなかった。
「ともかつぅぅぅぅうううう!!」
老婆は国広の姿を求めて叫んだ。
失くした息子をカブらせて、ペテン師の国広を慕った。
老婆はなにがしたかったのか、二人で擬似的な親子関係を結んでも、過去をやり直せるわけでもないのに。
失ったものほど焦がれてしまうもの。
後悔が人の心を苛む。
今でも北林さんの声はアタシの脳裏にこびりついている。
バブル、その頃は地価が思惑で高くなった。将来を見越した収益が皮算用され、アテのない融資が乱舞した。
日本にはもともと不動産信仰があったものですが「信用経済」の膨張がこれに輪をかけた。
地上げ、地面師、火付け、暴力団の介在、、、
ゴールデン街の放火事件。
地上げ目的にトラックが突っ込む脅迫事件。
アタシも何度かその現場に居合わせたものですww。
・・・って、アタシは昔からそうだった。なんだか厄介ごとに巻き込まれるタチだww(汗)。
この頃、アタシは警察の「警部」の肩書きの人の世話になります。
名刺を見ると「目黒警部」なんて書いてある。アタシはなんかの冗談かと思って声を出して笑ってしまった。
有名な小説で「メグレ警部」というのがありましたからw(笑)。まさか実物に会えるとは思わなかったwww。なんてw。
彼はアタシに言ったものです。
「警官なんて景気のいいときは惨めなもんですよ」
と。
見送った彼の背中には、なんだかGメンのテーマ曲でも流れてきそうだったw。
日本の金融機関、銀行というものが怠慢に流されるままにこの不良債権を作った。
我先にと熱狂し、追い立てられるように途方もない投資に狂った。
ジャブジャブの金融緩和は後戻りできないほどだった。
そうして最後は今のように機能不全となった銀行を作り出してしまいます。
SBIが買収をかけた新生銀行、何度目かの正直、金融再編のキッカケになるでしょうか。
今のコロナ騒動にも似たようなものを感じないではない。みなが同じ方向を向いているから。
しかし今でもあの不良債権は残っています。
だからタワマンとか再開発なんてのがやられてきた。
今では修繕積み立て金は足りず、管理会社は逃げ出し、高ければ高いほどその歪みが出てきている。どこまで行ってもよじれたシワが残って元に戻らない。
スマホに保護フィルムを貼って、その気泡を追い出そうとするのにも似ています。
あれもそういや「バブル」と書く(笑)。
例の「ウンコタワー・マンション」にしたってそうなのですwww。
IPOのあぶく銭か河原乞食でもなければ手など出せません。
まあそうだとすると河原乞食、タレントや芸人風情はともかくとして、IPOもまた空虚な期待ということになってしまうのですが・・・www(笑)。
先走った期待ほど儚く危険なものはないということでしょうか。
よくよく調べてみると、このドラマのファンという人たちがいて、NHKにDVD化を働きかけたらしい。
でもまだ我々はそれを見れません。いったい何をしてやがるんでしょう(笑)。
「期待」はまたしても裏切られているのです。
あの公共放送を僭称する組織の存在だって、それもまた虚構でしょう。
NHKが社会の公器として社会の期待に応えず、その役割を果たせない以上、もう潰してしまったらいいのではないかw。
デジタル化の時代、これが不良債権になってしまう前に、いっそ解体してしまったらいい。
NHKがなくなっても相撲取りは土俵でちゃんとやってくれるはずです。
おそまつ
※ 「メグレ警部」というもの。
「メグレ警部シリーズ」という小説があってアタシはよく読んでいたのでした。
軽い事件解決モノだった記憶があります。
まるで「名探偵明智小五郎シリーズ」みたいに、ズラッと並んでいた記憶があります。
フランスの小説家ジョルジュ・シムノンの作品です。
調べるとベルギー出身だったとか。じゃあポアロさんと同じだ(笑)。
あの「ミスタービーン」をやった人も2016年に演じているそうです。
探してみようかしらw。
そういえばこのローワン・アトキンソンという人、志村けんを信奉していたとか。
いくつかネタのパクリもありました。
おそまつ
