輪切りの魅力と誘惑
美味しく料理をして、皿に感じよく盛り付け、落ち着いて時間をかけていただく。
お喋りをし、味わっているものの印象を話したり、調理の出来をクチにする。
満足げで嬉しい食卓を迎える。
そうして穏やかな日常を過ごす。手を繋いで髪に感謝することは余りないけれどw。
今は、まるで「味覚の秋」のように春の素敵な味覚に溢れている。
キノコも安い。ナメコもシメジも、エノキも安い。
キノコ汁なんて秋口によく言われるが、春にやってもよさそうだ。
先日はナメコの処分品を大人買いでき、大事に冷凍庫にしまわれているw。
ただ、キノコ汁はウチでは無理かもしれないww。
ウチは私が貧乏性なものだから、キノコ汁などと、みんな一緒に煮てしまっては味わいが散漫になってしまう、もったいないと、いちいち一種類ずつ使って料理するしかできないから。
海苔も新海苔の季節のようだ。
安く買える。10枚入りで180円ぐらい。
海苔というのは意外と難しい。
高い海苔でなくとも美味しいものがあるし、厚ければいいというわけでもない。
「扱いやすさ」というのも大事だ。
だいたい、なにしろすぐに湿気てしまう。
だからあの味付け海苔、甘くしてある海苔というのはちょっとしたアイディアだ。
よく旅館の朝食に出るアレだw。
アレはなかなか馬鹿にしたものではない。
あの水飴みたいなコーティングがあるため、いつまでも湿気たりせず、海苔のパリパリとした食感が楽しめるから。
シジミを久しぶりに味噌汁で食べた。
ここ何十年と食べてなかった汁だ。
どうやらシジミも季節のようで安かったので買ってみた。
ゴールデンウィークには潮干狩りが各地でやられるぐらいなのだ。
春は海草もシーズンで、新モノのワカメというのもある。
ワカメは探して新モノを買いたいと思う。
私は鳴門のワカメがコシがあって好きだが、鹿児島や他の地方のものは香りが立つ。
ワカメは産地で驚くほどの違いがある。
それぞれ違いがあって嬉しい。
シジミというのは、粒が細かい貝だから、食べるのは難儀するとか、アレは食べずにダシにするだけの贅沢なものだとか、見ればその小ささに怖気づいてしまうものだww。
そこは色々誤解があると思う。
実際にやってみてすぐに思い出したが、シジミは実は身離れがよいものだ。
シジミを洗い、弱火で水から煮てゆく。
全部がだいたい開いてゆっくりと白いアクが出た頃、味噌を入れる。白味噌や薄い味噌がいい。
アクは捨てなくてもいい。潮の匂いが立ってくる。
味噌を薄めに入れ、オタマでグルグル、ガシャガシャと鍋の中をちょっとかき回していると殻から身がほとんど離れてしまう。
だからシジミの味噌汁はいちいち殻をほじくって身を食べるということはない。
むしろアサリの方がそうはゆかないだろう。
シジミは品の良い潮の味がする。
こういう、美味しい食材が出回っている季節は、家内も私も、お互いの好みを表明するということで盛り上がる。
メバルの刺身はプリッとしているから好きだとか、今時のニシンは子がついているとか、互いに主張し合う(笑)。
春先に特有の高揚感というのは、色んな食材が出回ることからも惹起されることかも知れない。
じゃあ、食材の好みがあるなら、味付け次第のこともあるという話になり、それなら食材の切り方にも人それぞれの好みがあろうかという話になった。
それなら私は「輪切り」が一番好きだ。
家内は「扇切り」がいいと言う。
人参でも厚く切ってあるとその味がよく分かるとか。
ブツ切りにすることもよくある。
乱切りなんて感じでゴロッとさせたいが、家内に言わせれば私のはそれでも細かいという。
私はケチ臭い人間なのだ(笑)。
ただブツ切りやザク切りというのはクチにする時にあまり切り方による味覚を感じない。
ごく基本の切り方というだけでしかない。
しかし千切りにして大根やキュウリやカブ、タケノコなどの特別な食感を味わったり、笹がきにして食材の食感を変えるとかは違う趣向がある。
ミジン切りにしたツブツブの食感、サイの目切りのコロコロと口の中で食材が遊ぶ感覚。
フキやオクラを斜め切りにした時、その断面を見たりする面白さ、味の滲みる有様の楽しみ、それが「切り方」による趣味嗜好ということなのだと思う。
冷凍のオクラというのは美味しくて使い道が多い。
安いしインドネシア産であればアっちのモノではないので安心だw。見つけると買っている。
オクラは冷凍のまま輪切りにして、納豆のようにタレで合えてそのままいただける。
薄く輪切りにすれば自然解凍してくれる。
冷凍でも輪切りにすると表面積が大きくなるからすぐに溶けてくれるのだ。
あるいは熱々のご飯の上に乗せ、タレとあわせたシャーベット状のオクラを乗せてご飯をいただくのもいい。それもことの他に美味しいものだ。
よくやっている食べ方だ。。
オクラは納豆と混ぜても絶品。ご飯に実に合う。
やはり私が好きな切り方は輪切りではないか、そう思った。
輪切りというものをイメージするだけで、食材やその美味しさがすぐに頭に浮かぶのだ。
輪切りにしたウィンナーもいい。
昭和の後期、「シャウエッセン」という、プリッとした食感を追求した「荒挽きウィンナー」というものが発売され、国民みんなが病み付きになって現在に至っているwww(笑)。
類似品も出回り、みなが大好きなものだ。
それで時々、シャウエッセンと同じ種類の感じかと思って聞いたことのないメーカーのものを買うと、違っていてひどくガッカリさせられることがある。
それも輪切りで救済ができる。
・・・ ドイツでは意外と「シャウエッセン」のような「荒挽きウィンナー」というのはない。
本場だから、ソーセージ屋なんて専門店はあって、血を固めたソーセージとかハーブ入りやナッツ入りだとか、ドイツでは色んなソーセージが売られているが、シャウエッセン系というのは予想しているよりも多くない。
ドイツでは、日本で言えば魚肉ソーセージぐらいの柔らかい食感のものも意外と多いのだ。
確かに、「シャウエッセン」を知ってから、柔らかいただの腸詰はつまらなくなってしまった。
日本が開発した「シャウエッセン」というのは、日本人が作った日本発の、「ライスカレー」と同じくらいの金字塔だと言えるw。
しかし、これは失敗したなと思っても、むざむざウィンナーを捨てるわけにもゆかない。
なんとか利用する方法を考える。
それが「輪切りにする」ことだ。
シャウエッセンの食感を求めるなら、電子レンジでやりすぎるほどレンチンすると逆に固くなって実が美味しくなるというやり方がある。
脂が撥ねるというぐらいにレンチンしてしまうとさすがに皮が固くなりプリッとなんとも言えないあの食感になってくれる。
これがひとつの方法。
もうひとつの救済方法としては、ウィンナーを輪切りにして焼いて、チャーハンとかナポリタンの具にする方法だ。
輪切りにしたウィンナーは、炒めるとその輪の切り口が膨らんで食感が良くなる。
見た目もコロコロと楽しくなる。
ただの小さなボタン状のような形状ではない。
火を入れると、輪切りのウィンナー断面の肉が膨らみ、一方で皮はそのままだから張力に差が出る。
そうしてプリッと弾けるような食感を感じられるようになるのだw。
考えてみると、「輪切り」というのは色々と美味しいと認知されている食材の切り方だと思う。
オニオンリングだって、レンコンの酢蓮だつて輪切りだ。
タマネギを輪切りにしてオニオンリングフライなんて、珠玉の味わいだ。
鉄板焼き。
タマネギにしてもサツマイモだって長芋だって、輪切りにして、鉄板で焼くとどこか違う愉しさがある。
アレだってみんなが大好きなものだろうw。
輪切りというのはなんだかいいものに感じる。
大根も輪切りにして漬物にしたくなる。
千枚漬けは輪切りだし、卵だって輪切りにするステンレスのギロチンみたいなのが売っているww。
輪切りにした茹で卵をサラダに散らせば、新婚の旦那など奥方にメロメロだろうw。
トウモロコシもBBQではなぜか輪切りに。
旦那がやってみせる自慢のBBQだ。
太巻き、細巻き、鉄火巻き、カンピョウ巻き、カッパ巻き、みんな輪切りではないか。
だから「恵方巻き」なんて、
インチキだとあれほど言っているのに!www。
バウムクーヘンだって輪切りそのもののじゃないか!
そして、カラダの検査。CT検査も輪切りだwww(笑)。
MRIも輪切りだ。
ある日、あんまりクラクラして立てなくなったから急いで医者に駆け込んで、私はCTスキャンで脳味噌を輪切りにして検査したwww。
脳腫瘍だと思ったら鼻を強くかみすぎて耳の平衡器官が一時的にどうにかなっただけと言われた。
「馬鹿らしい。大騒ぎして」、家内が私を非難したw。
棍棒でしこたま殴られた時も私はアタマのCTをやった。
フラフープは輪切りの運動で女性のウェストを美しくクビレさせる。お勧めだw。
ダルマ落としも輪切りだ。忘れられた日本文化、古来のゲームだ。
自動車のタイヤは、その昔、ピラミッドの巨石を運ぶための材木のローラーを輪切りにしたものだ。
「車輪」というのはみな、輪切りから来ている。
緯度経度、赤道などの概念も地球を輪切りにしたものだ。
それなら銀河を! 数知れぬ星雲を!
はるか彼方の宇宙全体を輪切りにし、その神秘を解明するべきだ!
ホーキング博士!ww(泣)
「輪切り」というのは、発想として優れたものなのではないか。
四次元解析とか言って、販売データや売れ筋を解析するなんてやってるが、あれだって輪切りのひとつには違いがない。
「ピボット解析」なんてのも輪切りそのものだ。
なんてこと・・・。
我々は輪切りの世界に生きている!
もっと輪切りを!
おそまつ
