生えてたのは桐の樹、人間は慣れるということ
人間というのは、長い時間をかけてやられるとすっかり慣れてしまい、わずかな変化には気がつかない、そんなもんなんでしょうか。
ロッピーチーズが、すっかり軽くなってしまっても、それには気付かず、我々はいくらか値段が上下していると思っていた。
そして特売で今日は198円だ、なんて言われるとつい喜んでしまう・・・。
しかし昔に較べれば、ロッピーチーズは3割も容量が減っているのです。
そんな振り返りのこと。
以前、私たちは「市民農園」というのを借りていたことがあります。
都会暮らしで市民農園というのは結構楽しいものがあります。
市が農家から借り上げて、休耕農地を市民の家庭菜園用に貸し出すものです。
市報なんかに載っていて、時々募集していたりします。
ウチの場合、自宅に庭があると言っても陽があまり射しませんので、たいして作物は取れません。
今年はゴーヤもやらず、トマトも植えませんでした。
「今年は植えないのかよ!」
「面倒なの!できないでしょ!」
「ミニトマトはできたじゃねえか!」
「連作障害だよ!」
「え、ぇぇぇーーー・・・」
「都会の中の庭」とは言っても、豊かな実りをくれるほど日照がよくはありません。
それを市民農園を借りて耕作すれば、広い土地、そこ全部が農園用の土地なのです。
日照は申し分ありません。
そのひと区画、狭い土地を借りるだけのことなのですが、ちょっとした農業体験ということで楽しいものがあります。
確か二年で5、6千円でした。
一区画は畳で12畳くらい、だいたいカーポートぐらいの大きさです。
借りるとそれぞれの区画が割り当てられて、自由になんでも作ることが出来ました。
苗や種、道具などはこちらで用意するのですが、水は自由にに使うことが出来ます。
あ、いくら自由ったって、大麻の栽培なんて駄目ですけどwww。
ガンジャ農業はダメw。
私たちはそこで、わざわざ畝を変わった形にしたりして、土いじりをして遊びました。
何をしようとその区画では自由ということですから、カタツムリのように渦巻き形の畝を作ったりしたものです。
渦巻きのようにして、段々の形に耕しました。
そしてその渦巻きの土を盛り上げたところにそれぞれインゲンとかオクラとか、茄子とか、人参とかを植えたのでした。
だから、真ん中のオクラを収穫するのにはそのグルグルの畝を歩いていかないといけませんww。
なかなか長い距離です(笑)。
実際にはチンマリした耕作地ですけど。
「これはなかなか広く感じるぞ」なんてww、目が回ります。
私たちの奇妙な耕作はあちこちで評判を呼んだようで、「なんだかおかしなことをしている奴がいる」なんて、市民農園の近所の区画の人たちがしょっちゅう見学に来たものでした。
写真を撮ってく人がいたり。
畝がウネウネ(笑)。
渦巻き状の耕作地でした(笑)。
オブジェみたいなものw。
変わったことをするのは面白い。
もちろん、そこはシロウトですから、たいして収穫はありませんでした。
本格的に大きな柱を組んで狭い区画を最大限に利用して、真剣にやっている年寄りなんかもいましたが、我々は週末に遊びに来る感じです。
我々もインゲンをやりました。
キャバクラの捨て看板を拾ってきて、それをインゲンをからませる支柱にしたりしましたw。
ドギツイピンクの文字で育つインゲンですw。
なかなか楽しかった。
嫁と、すごく仲良くできた記憶があります。
酒を持って行き、作業が終わると息抜きするのが愉しめました。
そんなある日のことでしたw。
ウチの区画から一本の草が生えているのに気が付きました。
ちょっと固そうな草が突然にニョキッと、私たちのカタツムリの畝に生えてきたのでした。
それは自己主張があるような、見るからに雑草ではないような草でした。
なんだか菊芋みたいな、そんな感じに思えました。
「菊芋」というのは、今ではウチの庭でも生えていますから、今なら違いは分かります。
なかなか強く、あまり手間が要りません。
食べるとアクやエグミがあるのですが、薄くスライスしたり千切りにして生のサラダにします。
刻んだリンゴと合わせるとなかなか美味しいです。
シャキッとした食感とクセのある味わいがとても変わっていて、なかなか味わい深いものがあります。
菊芋はリンゴと和えてサラダにするのが私の一番のお勧めです。
★
「これ、どっかからなんかのタネが飛んできたのかもねぇ」
「ああ、こんだけみんな色んなの植えてるからな。種類も分からんがw」
なんて言って、私たちはその草を放置していました。
ある日、そんな風にいつものように市民農園に来て、ゴチャゴチャと二人でやっていたら、バアさんが通りかかりました。
同じ市民農園を借りている近隣区画の人でした。
「あれ?、なんで、こんなところに桐を植えてんの?」
なんて言われました。
「えぇぇーーー、これって、桐なんですか」
「そうよお、ほら、そこに生えてる大きな樹、あれは桐でしょ。」
「へえーー、そうなんですか」
「そうよ、あんな風にすぐ大きくなっちゃうのww」
ビックリでした(笑)。
しかし確かに「他から来たタネ」には違いがないwww。
言われてみると、もうその桐の草は、最初に見つけたときは膝下ぐらいだったものが、今は我々の肩ぐらいになっていたのでした。
私たちは、実はそんなことにも慣れてしまい大きくなるスピードが速いことにも気が付かなかったのでした。
そんな巨木がウチの区画に生えたのか・・・。
なんて言っても今更です(笑)。
それで思い出したのでした。
「桐の樹」というのは、確か「忍者の樹」として有名だったはずです。
忍者の子供が生まれると、一緒に桐が植えられます。
「これを毎日飛び越えていなさい。」
なんて忍者の頭領に言われます。
その子供は毎日、毎日、その桐の若葉を飛び越え修行を重ねます。
桐はどんどん大きくなって、子供も成長して大きくなってゆきます。
やがてその子供が一人前の忍者になる頃には、桐は数メートルになっています。
だから、その子供も一緒に成長し、青年の忍者となって城の石垣や堀などひとっ飛び、一気にジャンプできるようになっている。
そういう話です。
あーーーーwww。
ないないw。
それはないです(笑)。
いくら成長するのに慣れてたとしても、いくらなんでも限界があろうというものです。
忍者はいくら修練しても、数十メートルをジャンプできたりしません。
アイアンマンじゃなんだからwww。
そういう「慣れ」があると言っても、限度はあるということです。
我々人間は時々それを忘れますけれどw。
だから、スライスチーズがオブラートのように薄くなることはない。
ロッピーチーズが「例の」お節に入ってたらw、やはり小さいと騒ぎになりますwww。
結局、その桐は切ってしまうことになりましたが、その時はもう我々の頭の高さを越えていたのでした。
ウチは気がつくのが遅い(笑)。
ま、まあ、それも慣れですwww。
おそまつ
