赤提灯は孤独に行くものだったはず
「赤提灯の恋しい季節になりましたナ」なーんて、昔はちょっとした季節のご挨拶でした。
「いやいや、お互い様ですな」なーんてw。
考えてみれば、コロナがなくったって、もともと昔は居酒屋なんてものは一人で行くものだった、酒なんて独りで呑んだものだったはずなのです。
いつの頃からか、ベンチで飲んだり、自宅で呑むことさえ避けられるようになっていました。
自宅でだって、「子供がいるから呑めない」とか、そんな話を言う人が今はいます。
しかしそれはいささか過敏過ぎやしなかったか。
間違っていたと私は思います。
孤独な毎日、虚しさ漂う日々の戦いに疲れ、相手を探して、喧騒の中に誘われるように出かけていき、あわよくば店の主人とちょっとした会話をしようとする。
主人のひと言、「いらっしゃい」の声が癒しになったりしました。
別に尾根遺産のいるバーでなくとも、居酒屋や赤提灯だって、一人で行くものでした。
それだけの理由があったから外で呑んだ。
そこには人生の哀愁と悲哀というものが付きまとった。
孤独感、誰にも愚痴をこぼせない疲れ果てた自分にとって、癒されるちょっとした瞬間が街角にあり、その癒しの空間の目印にと赤提灯が夕方から灯ったのです。
男はつらいよ
酒呑みにとって居酒屋なんて、昔はそんなものに過ぎなかったはずです。
そんなことを振り返ります。
その証拠に、ドリフのコントにだって、そんな時代背景をテーマにしたものがいくらでも残っているのですww(笑)。
それが、いつしかバブルの世となり、仲間が集まれば家や部屋でなく、居酒屋に誘い合って行くようになりました。
しかし友人などとは言っても、それほど信じられる相手ではない。
だから外で会うしかなかったのです。
同僚もしかり、上司もしかり、彼女にしたって部屋に上げないそういう場合がある。
「あ、ウチ、散らかってるから俺の部屋は駄目だよ」なんてww。
独身のむさ苦しい男が、彼女にはカッコをつけている影で、部屋ではコスプレやったり、フィギュア集めたり、萌え画像、薄い雑誌なんかを集めていたり・・・テンガまで(略)www。
自分の部屋を人に見せられないようではいけない。
なーんて、いにしえの昔から古老に言われていたのも遥か遠く(笑)。
今の状況で言えば、コロナ感染が蔓延し、相手が信用ならないならお互いに離れているしかありません。
それでも酒の席に付き合うというなら、野外で呑むぐらいしかありません。
居酒屋なんかで密になったとしたら、影で相手は何をしてきたか分かったものではありません。
とても密にはなれないのです。
人はみんな、それほど裏表があるようになってしまった。
もし、コロナ感染があるから密になれない、それなら「家族の密を止めよう」という話になってしまいます。
そうではありません。
コロナはエボラ出血熱ではないのです。
お互いにちゃんとした暮らしをしていると、そう信じあえる家族同士だから家ではマスクなんか取って鍋をつつき、お喋りができる。
信用できる間柄だから家で呑む、家族で呑む。
信じられる友人となら部屋に集まって呑めるのです。
相撲取りも、自分たちの部屋では密になって汗だくで稽古をしているのですwww。
誰もいない独りだから全ては自己責任、独り赤提灯で呑むのです。
バブルの頃から、ちょっとした変化だったのかも知れませんが、人と連れ立って外へ呑みに行くようになりました。
それは長らく続きました。
それが今、ようやく間違っていたと知れたのでしょうか。
友人同士で飲むのに居酒屋なんかいらない。
それほど親しくないなら、密にならないよう公園あたりで軽く呑めばいい。
みんながそう気がついたのでしょうか。
バブルの頃は居酒屋でやたらと群れて馬鹿騒ぎをしました。よくコンパをしたものです。
確かに、今はコロナと不景気、お金のこともあるのでしょうが、きっとそれだけではない。
今は、「独り」ということを見つめ直す、よい機会なのかも知れません。
結局、それは友人関係や仲間というものを考えることかも知れません。
お互いに腹にイチモツもっていて、信用していない相手と呑みに行っても面白くはない。
わざわざ誘い合わせて、お互いに軽い嫌味を言ったり、相手の様子をさりげなく探り合ったりする。
そんな上っ面の付き合い、薄っぺらな人間関係などコロナがあるのに必要ない。
それなら独りで呑んだ方がいい。
わざわざ、厄介ごとの種を撒く必要もないのです。
だから、とうとう口論になってケンカになって殺しちゃったりするんですwww(笑)。
いったい、いつの頃から日本人は、「寂しい」とか、「仲間」とか、
甘ったれたことを言うようになったのか。
私はというと、昔は独りの時は安っぽいラーメン屋に行き、ラーメンを頼んで食べ終わったら餃子とビールを注文して呑んだ。
店のテレビでは、まるで私は興味はないんだけれども野球中継がやっていて、オヤジが新聞を手にしながらも時々チラチラと見ていた。
ありゃ、客が興味がないと「消せ」と言われそうだから、自分も興味ないフリをしてたんだなww。
静かで孤独、客は誰もいない。
時々入ってくる客もやはり黙って飯を食って何も言わずに出て行く。
思えば私はそんな「喧騒」というのがとても好きでした。
逆説ですが、あれは孤独感に溢れたような喧騒があったのです。
そのままクタバってしまいそうになるほどの、寂寥とした感じが私は好きだった。
振り返っても、あれは私の宝のような時間に思えます。
孤独を恐れ、群れるから余計に孤独になって侘しくなる。
お互いに信用できない連中が集まって上っ面の話をしていても虚しいだけ。
思えば、そういう厳しさに堪えられなくなって突然に叫んだのがいた。会議の合間の休憩中、アタシはヘラヘラとしながらも、厳しいことをチラチラとほのめかしていた。で、突然に「ウォーーーっ」なんて言って走り出したのがいた。アタシはその意味を実は分かっていたけど、知らんフリをして黙っていた。
あんた、アタシのかもし出す緊張感に堪えられないんでしょw。
さすがに、それは言わなかったけれどw。
侘しいだの人恋しいだの、荒涼とした都会砂漠だの、挙句は頭頂部がさびしくなっただのww、そんことを言ってるなら嫁と話をしましょうwww。
子供と話をしましょうよww。
なによりも自分と話をしましょう。
そうでなきゃ独りで呑めばいい。
・・・私はそう思います。
そうして、そんなことを考えながら嫁と歩いていて、つい、またアタシはクチにしてしまったのでした。
「もう酒がねえなぁ」と。
「あ、あそこにコンビニがあるよw?」
「ダメだ。あのコンビニは酒売ってない。俺にはわかるんだ。」
「・・・www」
おそまつ
めいしくおしあがれ
