栗の季節です
秋で栗が手に入ると待っているのですが、まるで見かけません。
今年は半額どころか、普通に栗が売ってない。
筋子もなんだか少ない。
そう言えば今年はラッキョウも手に入りませんでした。毎年半額になってからキロ400円ぐらいで買って、3キロぐらい漬けていたのに。
今年は去年のものを使うだけ。
どうにも「売れないものは売らない」、なんて、そんなことになってる気がします。
半額にしても儲かるってのにww、それさえ嫌がるようになったんでしょうか。
困ったもんです(笑)。
九里ってのは栗だというのは分かります。
もうそんなら、いっそ栗なんて探さないでサツマイモがいいかなw。
サツマイモの焼き芋売りというのは昔からの商売です。
リヤカーに石を敷き詰めた釜を入れて、下で火をくべて薪で燃やして作りながら引いています。
小さな申し訳程度の煙突がなぜか無意味にくっついて上を向いていて、オヤジが声を上げて石焼き芋を売って回っていました。
「いぃーーーーーしぃいいいい、
やぁきいいいもぉぉぉぉぉっ。 お芋!」
なーんて。
名調子でした。
通りのよい、相撲の呼び出しのような声を出して売っていたものです。
石が焼ける臭いとかすかに芋の皮が焦げる臭いがして、のんびりした雰囲気の中、風情を散りばめてリヤカーを引いていた。
そして何より秋口から冬へと暖かさが恋しくなる季節です。
薪の面倒を見るのに時々リヤカーを止めて、なにやらゴソゴソとオヤジがやっている。
それを見つけると子供たちがさっと集まってきて暖を取ろうとします。
そこはオヤジもよく知ったもの。
「商売の邪魔だよ、シッシッ」
「買わないなら行った、行った、子供は風の子!」
なーんて(笑)。
今ならあれはたいていは軽自動車で走り回っています。
ある寒い冬の晩、私は終電を逃してとある駅の前に降り立ちました。
タクシー待ちは長ーーい行列。自宅までは遠い。
そこに焼き芋売りがいるのを見つけました。終電となってどうやら帰り支度のようです。私は近寄っていった。

「どこまでお帰りになるんですww?」
私は何気なく声をかけました。
結局、帰る途中まで同乗させてもらうことに。
そこまで行けば歩くのも近くなります。
「焼き芋買ってくれればいいですよ」なんて、アンちゃんは言ったけど、降りるときはオマケまでもらって、感謝の帰宅をしたことがあります。
車中話してみると、なんでもあれは組織ぐるみの営業らしいのです。
今は親方がいてクルマから芋から何まで出して、全て仕切っているらしい。
「焼き芋一家」ですなw。
ある種のテキヤの組みたいなものがあるらしい。
へぇーーーwww。
そのリヤカーの屋台や軽自動車には提灯があって、時々、そこに文句が書いてあるのを見たことがあります。
「九里よりうまい」そんな文句が書いてありました。
私は、これが昔からどうにも分かりませんでした。
最初は学校の先生あたり、あるいは子供の頃に近所の古老から聞いたのかも知れません。
まあ古老なんて言っても、そこは現代。
無断で入り込んだ庭先にいた老人だったりします。
彼らは「うふふ」なんて私に笑って、「焼き芋は旨いもんだ。『九里より旨い』なんて言うからねぇ」なんて、実に得意げだったものです。
「九里よりうまい」、私はその心がずっと分かりませんでした。
だいたい どうにも腑に落ちない話ではあります。
栗だから九里、洒落なのは分かりますが、「九里」だからなんだというのか。
九里は栗。まるで誤変換みたいに思った(笑)。
これ、正しくは「九里四里うまい」ということなんですね。
「栗より」だから、「九里四里」。
一歩前進です。
しかし、その後が続かないんじゃ訳が分かりません。やはり当て字だ。
「栗より」だから何だ、そうなります。
また半歩後退w。
栗より不味いのかも知れませんし、栗より安いだけかもしれない。
あーーー「栗四里」で、「四里分安い」はちょっとカスったかも知れませんw。
けど「里」なんて通貨の単位はなかったw。
距離です。残念。
どんな洒落のコピーなのかなんだか釈然としません。
平賀源内のウナギの売り文句、江戸の名コピーと言われるもの。
「今日は土曜丑の日」というものがあります。
あれは見ている人の「気付き」を狙ったものです。
同じ文化と習俗を共有していから、人々は土曜丑の日は何か知っています。
そこで、最後まで言わない。
「今日は土曜丑の日だから、ウのつくものを食べるといい、精がつくと言われます。ウナギもウがつくじゃございませんか、どうでしょう。」
なーんてことはわざわざ言わなかったわけですw。
それは分かった。
なるほど、見てる人の「気付き」を利用したマーケティングです。
私は平賀源内と似たようなコピー、売ろうとする意図が「九里より旨い」にあるんじゃないか、そんなことをずっと考えていたのでした。
でも違うのです。
九里より旨い、の、「旨い」はどっか隠れちゃった。
「九里四里」というのは「焼きイモ」のこと、どちらかというとコピーというよりニックネームなのです。
でいへんよくたきましたw
