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ヘッドギア、ボディガード奇譚

 私が養護でボディガードをした当時は、まだ「オウム」というのは、まだ危険なカルト教団と警戒はされていませんでした。
 目立った事件も、逮捕もありませんでした。

 彼らに引き込まれていった若者たちが、どんな子達だったのか、どんな類型が当て嵌まるのか、そのひとつはこのブログで推論をしています。


 あの団体の生態がマスメディアに取り沙汰され、内側の話が面白おかしく伝えられてきた頃でした。 マスコミは無責任に悪乗りし、大いにはやし立てたものでした。

 私が養護学校の林間学校に同行したのはその頃です。
 だから、そんな紛いモノの連中とは違って、私は真正に不思議な人たちに触れた気がしたものですw。



 ヘッドギアをした、見るからに不安定な子が隣のグループにいて、彼は最初からとても目立っていました。
 集合場所の駅にいる時から彼は突出して目立った子でした。
 奇声を上げつつ、ヨダレをダラダラと垂らしていました。

 見るからに手がかかりそうな子で、専任の教師が傍についていました。

 彼は突然地面に頭から倒れたり壁にぶつかるという傾向があるらしく、それで頭を守るためにヘッドギアをしているということでした。
 なるほど。

 オウムがヘッドギアなんてものを信者にさせて、世間を面白がらせていた頃でしたが、彼のモノはもっと真面目なちゃんとしたものだった。

 彼は、ちょっと見はとても異形でしたけれども、でも考えてみるとごく典型的な特殊学級のお子様でした。



 彼はウツロな目をしてヨダレを垂らし、フラフラと揺れながら立っていました。
 どうしても危なっかしい感じです。

 それこそ、線路なんかへいつでもブッ飛んで行きそうな感じでした。
 さすがに部外者にこの子が任されることはありません。

 でも、なかなかそのヘッドギアの見た目はカッコいい、なんて私は思いましたけど(笑)。

 本当にガーンと何にでもぶつかっていって、、、相撲で期待されるような気合、そんな感じがしたのです(笑)。
 彼は駅の壁や柱なんかにガンガンとぶつかっていましたw。

・・・それはそうと、元大関なのですから、体毛ばかり増やしてないでガーンと行きましょうよww。
 今日はよかったが、もっとぶつかって行って欲しかった。

 高安まちまちwww(笑)。




 そうして、いよいよみんなで電車に乗り込み、林間学校となるわけです。
 それこそ、その子に付いている先生はチカラコブを入れて、背中の腰のベルトの辺りをギュッと掴んで、ずっとその子の手綱を締めていた。


 私は一応隣のグループになりましたのでちょっと会釈をして挨拶はした。
 彼は目はウツロなのですが、私を見た感じは確かにあった。
 その時、彼はヨダレを垂らして私にニヤリと笑った気がしましたww。

 いよいよ出発ということになり、電車が入ってきます。

 私は担当全員の確認をして、まさに最初の仕事です。
 流石にちょっと緊張した。

 電車が入ってくると喚声が沸き、ちょっとした騒ぎになりました。
 先生たちもボランティアも緊張した。





 ふと、目の端の後ろで、その彼がフラリと揺れたのが分かった。
 私はサッとそっちを見ました。私の背中にその刹那、冷たいものが走った。
 まさに電車がホームへと入ってくる時でした。

 すると、そのあたりの喧騒、沸き起こる奇声の中、まるでスローモーションのように、電車の方へ倒れこみそうに見えた彼は、フラりと自分で自然に元の体勢に戻っていったのでした。
 私の目を見ながら。
 その瞬間と彼の、まるでカゲロウのような動きを私は見た。

 その時、担当の先生はその子の手綱から手を離していました。
 みんなで他の子供たちの安全を見て他を見ていたのでした。

 そうして彼は一瞬、私をどこか焦点の定まらない目で見て、ヨダレを垂れ流しながら、ニヤリとまた笑ったように見えました。

 この一瞬の出来事で、私は身が引き締まった思いがしたものです。
 何事もなかったかのように誰も気がつかず、ガヤガヤとみんなして電車に乗り込む時、私は礼のつもりで軽く会釈をして業務に戻ったものです。



 それから、一行が林間学校、ハイキングや移動などしている時、彼は相変わらず奇声を上げながら付き添いの先生にフラフラと寄りかかり、どこかにぶつかって、スキがあれば走り出しそうな感じで過ごしていました。

 私も業務に集中していた。

 時々、彼とは目が合いました。
 こっちに近寄られて抱きつかれたりもしました。
 私もできるだけ自然にハグに応えました。

 「あいつ、ヨダレ、だらだらだったでしょw」なんて、相棒の部下は言ったけど、接近されてヨダレがつこうがなんだろうが、私は嫌な顔だけは見せないように注意したwww。

 それから三日間、私は彼の視線を何度か感じたものです。その横目の、右の目玉と左の目玉が別々を向いているような視線をww。
 私の担当ではありませんでしたが、隣のグループでした。私は見られている感じはした。



 彼は私の仕事ぶりを見ているのかも知れないなんて思ったりもしました。

 もしかしたら彼は、普段は養護学校なんかでも、そうやってまるで先生たちの注意を惹きつけるような陽動策のような役割をしているのかも知れない。
 彼は自分の動きで他の子供たちをカバーしている、そんな感じにも思えたのです。

 「カバー」・・・。
 その後、私は本当にリアルのボディガードをやることになった時、この子のことをちょっと思い出したりした。




 みんな、ほとんどが宇宙のどこかを旅しているような、別の次元にいるような目でしたが、実はちゃんとこっちを見ていたのかも知れません。

 ヘッドギアの彼とは一言も意思疎通はなかったけれど、そういう一瞬だけの我々との接近遭遇。

 気がつくとまた彼らは向こう側に帰っていく。
 その意味ではみんな、生徒たちはそんな感じがしたものです。


 我々人類も宇宙のどこからか見られている、そんな話もよく聞く話です。
 誰しも内側には宇宙があるに違いがありません。


おそまつ



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