ロイヤル・ストレート・フラッシュ「ジャック」
トランプ。
☆
アメリカの大統領選は11月ということです。
常にこちらをガン見してくる老人男性がいました。
片目の眼帯こそしていませんがどう見ても「ジャック」と呼ぶに相応しい、少し凶悪な印象がある人でした。
彼も「スーパーのゾンビ」として我々が呼んでいたひとりです。
彼もコロナを境にプッツリと消えました。
彼の場合、いつも嫁をガン見して見つめてきました。
遠慮もなにもありません。
ジロりと嫁の顔を捉えて視線を離しませんでした。
彼がスーパー内をウロついているのは一度も見かけませんでした。
彼を見かける時というのは、常に彼がスーパーから帰ってゆくところでした。
昔は何かの職人だったのか、体は大きく、ガニ股で、彼はジロりとこちらをいつも見た。
アバタ面に面長ですが醜くく感じる人ではありません。
不快ではないところがやはり「キング」ではありません。
ただどこか凶悪で油断のならない感じ。
それはまさしく「ジャック」なのです。
ジャックには我々はそれなりに愛嬌を感じていたものです。
ゾンビ映画で言えばクルマで跳ねられて、いつまでも動いているタイプ(笑)。
彼が何をスーパーでしていたかはまるで分かりません。
不思議と、スーパーの店内で会うことは一度もなかったのですから。
彼もコロナで消えました。
姿を見かけることはありません。
「旅立てジャック」そんな唄を聞いて旅立ったのか(笑)。
